9歳で中国・上海から青森に移り住んだ潘逸舟は、多くの作品で人間と居場所の関係について言及している。映像、インスタレーション、写真、絵画まで、様々なメディアを用いる。時には自らのパフォーマンスも交え、当事者と他者の間にあるものを探っている。作品のモチーフとしてたびたび登場する海景は、絶えず変化し続ける豊穣(ほうじょう)の象徴であると同時に、政治的な境界をも示唆する。「日産アートアワード2020」では、消波ブロックの形をした立体が海面を漂う映像を中心に構成したインスタレーションを発表。極めて詩的な作品だが、立体を覆うアルミニウム製の防寒シートは、社会的弱者が直面する苦境を痛切に訴えている。それまで彼がテーマとしてきた、移動によって変化する社会と個の問題を、パンデミックがもたらした社会的距離と孤立という課題の中で昇華させたとして、高く評価された。
潘逸舟 Ishu Han
- 30 ARTISTS U35
- 2022
- 《戻る場所》(2011)©Ishu Han, Courtesy of Museum of Contemporary Art Tokyo
Photo: Kenji Morita - 《海で考える人》(2016)©︎Ishu Han, Courtesy of ANOMALY
- 《あなたと私の間にある重さー故郷の大きな食卓》(2018)©Ishu Han, Courtesy of ANOMALY
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