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ミイラの製造工房か。エジプト・サッカラ遺跡で相次ぐ大発見

エジプト・カイロから南に30キロの場所にあるサッカラ遺跡で、考古学者たちが紀元前300年代にミイラを製造していた工房と、高官と神官の墓を発見したと5月27日に発表された。

サッカラ遺跡で発見された、美しい彩色の石棺。Photo: Khaled Desouki/AFP Via Getty Images

エジプト考古最高評議会のムスタファ・ワジリ事務局長は報道陣に対して、発見されたミイラの工房と遺物は、ファラオ王朝第30王朝(紀元前380年~343年)とプトレマイオス朝(紀元前305年~30年)時代のもので、人間や神聖な動物をミイラ化するために使われた石製のベッド、土鍋、塩、樹脂、リネン、そして儀式用の容器があったと明かした。

同時に発見された墓は、サッカラ遺跡の責任者、サブリ・ファラグによると古代エジプト第5王朝の古王国時代(紀元前2686年頃~2185年前後)の高官、ネ・ヘスット・バと、新王国時代第18王朝(紀元前1570年頃~1293年頃)の神官であるメン・ケベルのものだという。

ロイター通信は、ネ・ヘスット・バの墓の壁には耕作や狩猟などの日常生活の様子が刻まれており、メン・ケベルの墓には、ケベルのさまざまな姿が刻まれていると報じている。

サッカラ遺跡で発見された土器。Photo: Khaled Desouki/AFP Via Getty Images

サッカラ遺跡は、ユネスコの世界遺産の古都メンフィス内にある。国立古代エジプト博物館は1975年からサッカラ遺跡で発掘を行っており、女神バステトの聖域の近くで1年にわたる発掘調査を行った結果、今回の重要な発見があった。この聖域は、2019年に数百体のミイラ化した動物や像が発見されている。

同遺跡では最近、大発見が続いている。2022年には5つの絵が描かれた墓や、古代の高官の墓、ラムセス2世の会計係の石棺が見つかり、2023年に入ってからは、紀元前50年に作られた長さ52フィートの保存状態が良いパピルス、3200年前のエリートのためのネクロポリス、国内最古のミイラが発見されている。

これらの品々の多くは、カイロ郊外のギザ・ピラミッド近くに2023年下半期にオープンする「大エジプト博物館」で展示される。520万平方フィートの敷地面積を持つこの博物館には、ツタンカーメン王の墓から発見されたすべての財宝と、10万点の古美術品が並ぶ予定だ。(翻訳:編集部)

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