2023年のアルス・エレクトロニカ賞が発表! 韓国が躍進、日本からは1名が入賞
1987年から続くメディア・アートの国際コンペティション、アルス・エレクトロニカ。2023年は、98の国から3,176の応募があり、それぞれの部門中で、グランプリとなる「ゴールデン・ニカ賞」(Golden Nicas)が1作品に、準グランプリとなる「優秀賞」(Awards of Distinction)が2作品に、佳作となる「栄誉賞」(Honorary Mentions)が12作品選出された。
人工知能&ライフ・アート部門
人工知能&ライフ・アート部門で、最優秀賞であるゴールデン・ニカ賞に輝いたのは、ウィニー・スーン(香港/イギリス)の《Unerasable Characters Series》。デジタル権威主義における検閲に着目した作品で、中国版SNSであるウェイボーの検閲追跡ツール「Weiboscope」から日々消去される「つぶやき」を抽出・分解し、その文字をグリット状に配置し視覚的に提示している。
Unerasable Characters II from Winnie Soon (a.k.a siusoon) on Vimeo.
この部門の優秀賞は、オロン・カッツ、イオナット・ズール、スティーヴ・ベリック(オーストラリア)の《3SDC project (Sunlight, Soil & Shit (De)Cycle)》、アダム・ブラウン(アメリカ)の《Shadows from the Walls of Death》に贈られた。
その他、日本人グループの赤松音呂 + 大場裕一が、《おそらく、芸術は蛍から始まる Perhaps, art begins with the fireflies》で栄誉賞(Honorary Mentions)に選出。赤松は2015年にも、デジタル・ミュージック&サウンド・アート部門ゴールデン・ニカ賞を受賞している。
ニュー・アニメーション・アート部門
ニュー・アニメーション・アート部門では、キム・アヨン(韓国)の3Dアニメーションと実写を組み合わせた作品《Delivery Dancer’s Sphere》がゴールデン・ニカ賞に決定し、キム・アヨンは、韓国人で初の同部門ゴールデン・ニカ賞の受賞者となった。
AyoungKim_Delivery Dancer's Sphere (2022) Trailer from ayoung kim on Vimeo.
同部門優秀賞は、バッサム・イッサ(アイルランド)の《IT’S DANGEROUS TO GO ALONE! TAKE THIS》、イ・サンヒの《Oneroom-Babel》に贈られた。
デジタル・ミュージック&サウンド・アート部門
デジタル・ミュージック&サウンド・アート部門では、アトラクター+セマンティカ・プロダクションズ(国際プロジェクト)の《A Tale of Two Seeds: Sound and Silence in Latin America’s Andean Plains》がゴールデン・ニカ賞に選ばれた。彼らは、ラテンアメリカのアンデス平原における遺伝子組み換え大豆の農耕地拡大という「現代の技術的な植民地化」を、過去 10年間にわたるフィールド・レコーディングを通して表現している。
A Tale of Two Seeds Sound and Silence in Latin Americas Andean Plains from Juan Cortes on Vimeo.
そのほか、アルバ・トリアナ(コロンビア)《Harmonic Motion》、ユリア・ジャスミン・ロンメル(ドイツ)《zwischenraum – interspace – acoustic cartography》が優秀賞を受賞した。
u19部門ゴールデン・ニカ賞には、ソーニャ・ヘグリンガー(オーストリア)《Verblassende Stimmen》、冨田勲特別賞には、ロビン・フォックス(オーストラリア)《TRIPTYCH》がそれぞれ選出された。9月6日〜10日には、「Who Owns the Truth?」をテーマにアルス・エレクトロニカ・フェスティバル2023が開催され、世界中から集まるメディア・アート作品が展示される予定だ。