ゴードン・シャハト(Gordon Schachat)

拠点:南アフリカ・ヨハネスブルグ
職業:銀行業
収集分野:現代アート

銀行家ゴードン・シャハトのアートコレクションが初めて公の場で確認されたのは、2009年に南アフリカのヨハネスブルグで開催されたジョバーグ・アートフェア(その後FNBアート・ジョバーグに改称)だった。同フェアの呼び物とされた作品、ジェーン・アレクサンダーとトゥメラ・モサカによる《Security》の所有者が、他ならぬシャハトだったのだ。

彼のコレクションの詳細は明らかではないが、ロビン・ロード、ケンデル・ギアーズ、ウィレム・ボショフ、ジェーン・アレクサンダー、アレクシス・プレラーなど、南アフリカ内外の著名アーティストの作品を所有していると見られる。また、美術史家のエズメ・バーマンがプレラーに関する著作を出版するために資金を援助したとされている。

1980年代以降、シャハトは複数のデベロッパー企業で取締役職を歴任。後に投資銀行にも手を広げ、アフリカン・バンク・インベストメンツ社とアフリカン・フェニックス・インベストメンツ社を共同設立した。

数年前から、シャハトが自分のコレクションを展示する私設美術館を開くのではないかという噂があった。そして2020年、ヨハネスブルグの郊外、フォレスト・タウンの路面電車車庫と変電所があった場所に、ジョバーグ・コンテンポラリー・アート財団(JCAF)が共同設立された。設立者はシャハトのほか、コレクター仲間のアディ・エントーベン、そして南アフリカの通信会社MTNの元会長フトゥマ・ヌレコだ。

噂とは異なり、JCAFはシャハトのコレクション展示はせず、財団自体がアートを所有することもなく、企画展などを主催する。南アのメール&ガーディアン紙によれば、一度に入館できる人数が5人に絞られているのは、クライヴ・ケルナー館長(元ヨハネスブルグ・アート・ギャラリー館長)のじっくり見てほしいという方針によるものだという。