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  • 2024.05.24

今週末に見たいアートイベントTOP5: 伊藤若冲から山口晃まで愛犬・愛猫アートが大集合、田名網敬一が独自のプリント世界を披露

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

1. 画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎(静嘉堂文庫美術館)

重要文化財 河鍋暁斎《武四郎涅槃図》明治年19年 (1889)  松浦武四郎記念館蔵

幕末明治の鬼才、河鍋暁斎と松浦武四郎の情熱をたどる

絵師・河鍋暁斎(1831-89)と、探検家で好古家、著述家、北海道の名付け親である松浦武四郎(1818-88)。幕末から明治期に活躍した2人は、お互いを知る仲でもあった。本展は数々の作品でその数奇な縁を辿る。見どころは、住まいも近く、共に天神を信仰した2人の関係性を示す記念碑的作品《武四郎涅槃図》だ。これは暁斎が「涅槃図」を武四郎を釈迦に見立てて描いており、画中には「大首飾り」をはじめ、武四郎愛玩の品々が描かれている。本展では、それらの品々も同時に展示する。

さらに、武四郎のパトロンの一人、川喜田石水と百五銀行頭取で陶芸家の川喜田半泥子、三菱第四代社長で静嘉堂初代理事長の岩﨑小彌太との関係にもふれる。幕末明治の多才な2人と彼らを支えた人々の、文化財への情熱に思いを馳せる機会となるだろう。

静嘉堂文庫竣工100年  特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎「地獄極楽めぐり図」 から リアル武四郎涅槃図まで」
会期:4月13日(土)~ 6月13日(日)
会場:静嘉堂文庫美術館(東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F)
時間:10:00~17:00(金曜は18:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日)

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2. 特別展「犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」(山種美術館)

竹内栖鳳《班猫》【重要文化財】1924(大正 13)年 絹本・彩色 山種美術館

画家たちが描いた愛犬・愛猫が大集結

犬と猫は、古くから日本の絵画に描かれるなど、最も人々に親しまれている動物だ。本展は近代以降の画家たちが自らの愛犬、愛猫をモチーフにした名品を紹介する。

展示室に並ぶのは、俵屋宗達、伊藤若冲、円山応挙、長沢芦雪、歌川国芳、明治以降の竹内栖鳳、川端龍子、速水御舟など、江戸時代から現代に活躍した多彩な画家たちによる名作。また、江戸時代には珍しかった洋犬を描いた貴重な作品《洋犬・遊女図屛風》(個人蔵)が初公開される。その他、サインの代わりに猫を描くこともあるという藤田嗣治の《Y夫人の肖像》では女性と4匹の猫が描かれ、山口晃による《捕鶴圖》では擬人化された猫たちの個性までもが描き出されている。近代京都画壇を牽引した竹内栖鳳が、静岡の沼津で偶然出会った猫に惹かれて丹念な観察と写生を通して作品を完成させたという重要文化財《班猫》も見逃せない。

特別展「犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」
会期:5月12日(日)~7月7日(日)
会場:山種美術館(東京都渋谷区広尾3-12-36)
時間:10:00 ~17:00
休館日:月曜


3. 田名網敬一 「TANAAMI!! AKATSUKA!! / 45 rpm」(集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー)

©Keiichi Tanaami Courtesy of NANZUKA

グラビアプリントを復刻。ミスプリントのズレにも注目

絵画やコラージュ、アニメーションなどを用いた作品で国際的にも高い評価を得るアーティスト、田名網敬一のユニークな個展が開催中だ。田名網は、漫画家の故赤塚不二夫とコラボレートし、2021年12月で稼働を停止したグラビア印刷プリントを蘇らせて「TANAAMI!! AKATSUKA!! / Revolver」シリーズを制作した。本展では同シリーズのレコードジャケットなどのプリント作品を展示する。

作品の印刷の過程でミスプリントが生まれるが、それらは「ユニークな価値」としてそのまま生かしたという。会場にはプリント作品だけではなく、田名網がデザインしたポップな柄の着物の展示や、田名網が出演する不思議な世界観の動画も上映されている。

TANAAMI!! AKATSUKA!! / 45 rpm
会期:5月14日(火)~ 6月30日(日)
会場:集英社マンガアートヘリテージ トーキョーギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1)
時間:11:00~20:00
休館日:月曜


4. 菊地敦己 + 田中良治 「録音とコピー PROMO ONLY」(OFS GALLERY)

展示風景 Photo: Naoki Takehisa

カセットから再生される、音とグラフィックの世界

グラフィックデザイナーとして、美術や工芸、建築、ファッションなどの分野を中心に活躍する菊地敦己と、ウェブ・デザイナーとしてサイトの企画・制作から国内外の美術館・ギャラリーでの作品展示まで領域にとらわれない活動を行っている田中良治。マルチに活躍する2人が音とグラフィックをテーマに展覧会を開催する。

会場ではカセットテープをフォーマットに、2人が制作・セレクトをした音と新作のグラフィックが展開される。カセットの音は、会場に設置されたデッキで再生可能で、カセットはダビングして持ち帰ることもできる。また、6月1日(土)には菊地敦己と田中良治によるトークイベントも予定されている(18:00~19:00、先着30人、要申し込み)。

録音とコピー PROMO ONLY
会期:5月16日(木) ~ 6月17日(月)
会場:OFS GALLERY(東京都世田谷区池尻3-7-3)
時間:12:00 ~ 20:00(最終日は18:00まで)
休館日:火水


5. やんツー『Unknown Technics』(アニエスベー ギャラリー ブティック)

やんツーが考察するテクノロジーと未来の姿

のろのろと動くミニ四駆などのユニークな作品を通してポスト資本主義、エネルギー問題、先端技術の政治的・社会的影響などに焦点を当ててきたやんツー

本展はコロナ禍以降に発表された作品群をアップデートし、一つのテーマに集約して展開する。グラフィティに傾倒していたというバックグラウンドが色濃く反映された作品《「落書き」のための装置》では、アニエスベーが発信した「I HATE FAST FASHION」という言葉をタイトルに採用。ドローイングマシーンの支持体には廃品の服を利用している。

Unknown Technics
会期:5月18日(土) ~6月16日(日)
会場:アニエスベー ギャラリー ブティック(東京都港区南青山5-7-25)
時間:12:00 ~19:00
休館日:月曜

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