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アートが地域のために出来ることとは? ディープな横須賀で「SENSE ISLAND/LAND 2024」参加作家5人とのトークイベントを開催

横須賀市街と無人島猿島を舞台に開催中の芸術祭「SENSE ISLAND/LAND|感覚の島と感覚の地 2024」。その参加アーティストから中村寛、水戸部春菜ら5人を招き、12月8日(日)、ディープな横須賀を感じられる会場で、芸術祭への参加意義をテーマにメディアパートナーであるARTnews JAPANの協力によるトークイベントが開催される。

写真左上から時計回りに中村寛、菊池宏子、水戸部春菜、山本愛子、薬王寺太一。

横須賀市街と無人島猿島を舞台に芸術祭「SENSE ISLAND/LAND|感覚の島と感覚の地 2024」が開催中だ(12月15日まで)。2年振りとなる今年は、SIDE CORE玉山拓郎チェ・ジョンファ、キュンチョメ、TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH、水戸部春菜ら19組以上の作家が参加し、アートというレンズを通して横須賀の歴史、産業、環境について見つめ直す。

今回、「SENSE ISLAND/LAND」として猿島だけでなく横須賀市街地でも展示を行った理由を、プロデューサーの齋藤精一は、「過去のSENSE ISLANDでは、猿島の歴史を汲み取った作品を展示することができた実感はありましたが、猿島を語る上で欠くことのできない横須賀という土地が地政学的に果たした役割や歴史についても十分に言及するためには、市街地にも染み出す必要があると考えました」と話す。

そんな齋藤から今回のキュレーターとして白羽の矢が立てられたのは、インディペンデント・キュレーターで一般社団法人「藝と」ディレクターの青木彬。過去に横須賀にあるアーティスト村「HIRAKU」に居住した経験から生活者として横須賀を見てきた青木は、「行政による文化事業やまちづくり、都市計画にも携わった経験を活かし、齋藤さんたちとの議論から出てきた地政学や人類学、そして地層学の視点から横須賀をリサーチし、アートの文脈に翻訳することに努めました。アート以外の視点から見る芸術祭として、どんな役割を果たすことができるのか。そこに重点を置きました」と語る。

両者が共通して目指したのは、「スタンプラリーのように展示作品を追いかける多くの芸術祭とは異なるあり方」だ。そのためにも、「陸と島の文脈を作り、ただ展示を成立させるのではなく横須賀のなかで生まれる作品の関係性やその変化を意識した」という。そんな思いとともに選ばれたアーティストたちについて青木は、「大きな芸術祭を開催するだけでは、開催地にとっても持続可能ではありません。芸術祭が閉幕した後にも、その土地にどんな影響を与えられるのかという視点を持っている作家たち」と評価する。また齋藤は、「参加アーティストたちは、今まで制作してきた作品の延長ではなく、自ら街の様々な側面に触れ、考察し、提供された場で何ができるのか、場所を提供してくれた人たちに何が還元できるのかを真摯に考えてくれました。そうして今回、たくさんの予想外の作品が生まれたことを嬉しく思っています」と振り返る。

さて、そんな同芸術祭に参加しているアーティストから5人を招いて、ARTnews JAPANの協力のもと、12月8日に横須賀市内のハワイアン カフェ&バーマハロハでトークイベントを開催する。登壇者は、文化人類学者であり、「周縁」における暴力、社会的痛苦、反暴力の文化表現、脱暴力のソーシャル・デザインなどのテーマに取り組む中村寛、現代社会における環境・状況のコンテクスト化をテーマに、コミュニティ・エンゲージメントに焦点を当てたプロジェクトを国内外で多数手がける菊池宏子、横須賀市田浦を拠点とし、地元の土と三浦半島の間伐材等を用いて土器、穴窯による陶器を制作する薬王寺太一、国内外で自然環境と染織技術にまつわるフィールドリサーチと滞在制作を行ってきた山本愛子、そして横須賀市に住み、谷戸地域に埋まる鉄や銅などの廃棄物を採集し柔らかいものへと加工しながら作品化する水戸部春菜だ。

「参加したアーティストたちには、自身の活動のヒントになるようなものを何か持ち帰ってもらえたら」と齋藤が込めた期待に、アーティストたちはどう応えたのか。地域に根差した芸術祭に参加して得られた発見や、アートを通じた地域貢献などについて、ディープな横須賀を体感できる会場を舞台にクロストークする。


芸術祭の参加意義とは? アーティスト5人の公開インタビュー by ARTnews JAPAN
開催日:12月8日(日)
場所:ハワイアン カフェ&バーマハロハ(横須賀市若松町3丁目9 ダイヤモンド企画ビル B1)
時間:19:15 - 21:15(19:00開場)
参加費:1500円(現金での現地精算)
※ 先着20人。申し込みはこちらから

「SENSE ISLAND/LAND|感覚の島と感覚の地 2024」

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