木村翔馬 Shoma Kimura
デジタル・ネイティブ世代の作家を自任する木村翔馬は、キャンバスに絵具で描く従来の絵画と、3DCGによる作品を並行して制作している。作品発表の場では両者を併置し、来場者は裸眼とVR(仮想現実)ゴーグルを装着した状態とで鑑賞する。京都市京セラ美術館で開催した個展では、現実空間にVR空間を重ね、VRゴーグルを装着すると会場が緑色の水の中に沈んだように見える演出を施した。会期中に開催された「ニュイ・ブランシュKYOTO」では、会場のガラス壁にライブペイントを実施。宙に浮いたように見える筆跡で、現実とVRが交錯する地下の展示空間へと鑑賞者を導いた。時代の環境や技術革新によって絵画表現が変化してきた歴史を踏まえて、「絵画を更新したい」と語る木村。ただし、無限の可能性を秘めた技術への礼賛ではなく、VRの制作・鑑賞時に感じる不自由さのほうが制作の動機になっているという。
木村翔馬
Shoma Kimura
1996年大阪府生まれ。2020年京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻修了。主な展覧会に、20年個展「ザ・トライアングル 木村翔馬:水中スペック」(京都市京セラ美術館)、18年個展「dreamの後から(浮遊する絵画とVRの不確定)」(ninetytwo13gallery)。18年京都市立芸術大学作品展・有志展2017市長賞、17年第4回CAF賞最優秀賞受賞。 Photo ©2020 KAMADO Photo: Naoki Miyashita