ARTnewsJAPAN

インテリアショップで古代の葬儀用石碑を発見。イエメン内戦から守るためV&A博物館が一時預かり

ロンドン東部のインテリアショップでイエメン由来の古代の葬儀用の石碑が発見され、現在はヴィクトリア&アルバート博物館に保管されている。

インテリアショップで見つかった、イエメンの古代の石碑。Photo: Ed Lyon/V&A Museum In London

この石碑は紀元前1千年紀の後半に作られており、近年略奪の対象となっているイエメンのネクロポリス(古代の共同墓地)から出土したものだ。ロンドン東部のインテリアショップで考古学の初心者が見つけ、通報。警察の捜査の結果、店主はその品物を手放してイエメンに返却するよう要請し、市警の美術品・骨董品課が預かった。

しかし、イエメンは現在内戦中で、石碑は国際博物館協議会の緊急危険文化財レッドリストに該当する。

イエメンとイギリスの話し合いにより、石碑は安全に返還できるようになるまでヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で一時的に預かり、調査を行うこととなった。9月12日、V&Aのトリストラム・ハント館長とヤシン・サイード・ノマン駐英イエメン大使により、その協定は正式に取り交わされている。

石碑は現在、2025年までV&A East Storehouseで開催中の展覧会「Culture in Crisis」で見ることができる。

ハント館長は、ガーディアン紙にこう語っている。

「これは歴史的な合意であり、イエメンの文化や創造性の優れた例を、本国送還前に一般の人々に鑑賞してもらう機会を与えるとともに、V&AのCulture in Crisisプログラムがいかに略奪品の違法取引の抑制や、世界的な文化遺産の保護に貢献しているかに光を当てる出来事です」(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい