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シカゴ美術館の労組が「全面的な」賃上げを勝ち取る。低賃金の職員は16.25%増

シカゴ美術館(AIC)と シカゴ美術館付属美術大学(SAIC)の労働組合は、4年間にわたる「全面的な」賃上げを保証する初の契約を結んだ。中でも、現在最も賃金の低い職員は16.25%増と、最も高い賃上げが実現することになる。

シカゴ美術館の外観。Photo: Jakub Porzycki/Nurphoto Via Getty Images

シカゴ美術館(AIC)とシカゴ美術館付属学校(SAIC)の従業員が合同で設立した労働組合、シカゴ美術館労働者連合(AICWU/AFSCME)には、500人以上の加盟者がいる。AFSCMEのウェブサイトによると、今回の契約は、長年にわたって労働者を悩ませてきた「重要な職場文化問題」の解決に向けた第一歩だという。

この契約によって得られる権利の中には、翻訳業務に対する給与、毎年の功労・批准ボーナスが含まれる。また、求人情報は公表前に現従業員に公開され、社内の有資格者にはキャリアアップの面接が保証される。

労組の交渉委員会は、契約交渉開始から1年が経過した時点でストライキのための資金集めを行い実行に移した。ストライキ開始から数日後、美術館側は契約案を交渉委員会に提出し、組合員らはこの提案を承認した。

交渉委員会のメンバーでシカゴ美術館のオフサイト倉庫で物流業務のマネージャーを務めるカイラ・トーマスは、これまでの待遇についてこう語る。

「特定の管理職から見下され、酷使され、不当な、あるいは恣意的な方法で懲戒処分が下されるのを目の当たりにしました。この状況に対して声を上げられずに苦しんだり、他の仕事の機会を求めて退職したりする人もいました」

今回の件を受けてトーマスは、「美術館側にNOと言える方法ができた。懲戒会議には必ず組合代表が出席し、味方になってくれる。これは大きなカルチャー・シフトになる」と期待を込める。組合代表は美術館側にコメントを求めたが、すぐには回答を得られなかった。(翻訳:編集部)

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