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戦争被害、返還問題から新発見まで──遺跡をめぐる2022年の一大ニュースTOP7【2022年のアートニュースまとめ】

2022年の遺跡関連のニュースでは、メトロポリタン美術館で2023年3月まで行われる「クロマ:古代彫刻の色彩」展が記憶に新しい。また、アイルランドでは謎の石の建造物が先史時代の貴重な遺跡と判明、クロアチアでは、古代ローマの巨大神殿発見されるなど、人類史の新たな1ページも垣間見えた。

ニューヨークのメトロポリタン美術館で行われている「Chroma: Ancient Sculpture in Color(クロマ:古代彫刻の色彩)」展(2022年7月5日〜23年3月26日)の展示風景。Photo: Anna-Marie Kellen. Courtesy of The Met

1. コロナ禍で文化財の盗掘が急増。インターポールによる調査報告

シリアのダマスカス国立博物館。Photo: AP/アフロ

インターポール(国際刑事警察機構)の最新調査で、文化財を対象とした不法行為が新型コロナウイルスの世界的感染拡大のなかで急増したことが明らかになった。

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2. 犬型ロボット、ポンペイの古代遺跡をパトロール中

ライカのドローン「 BLK2FLY 」、ポンペイで。Photo: ARCHAEOLOGICAL PARK OF POMPEII

ボストン・ダイナミクス社の犬型ロボット「スポット」が、イタリアのポンペイ遺跡で考古学エリアや建造物を巡回警備している。ポンペイ考古学公園が3月28日に発表した。

古代ローマの都市ポンペイは、紀元前79年にベズビオ山の噴火で火山灰に覆われた。この俊敏なロボットは、狭い通路やでこぼこした路面などの、構造上の問題または安全性を確認するために使われている。また、盗掘者が古代遺物を盗む(後に売る)ために掘った地下トンネルも点検している。

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3. ウクライナ軍が考古学上の重要遺物を発見。空爆激化のオデーサで

オデーサで発見された古代のアンフォラ。Photo: Courtesy 126th Territorial Defence

5月上旬、ウクライナ軍兵士が南部の港湾都市オデーサで塹壕を掘っていたところ、貴重な埋蔵物が見つかったと発表された。

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4. 古代ギリシャ彫刻はカラフルだった! 覆された「白さの神話」

ニューヨークのメトロポリタン美術館で行われている「Chroma: Ancient Sculpture in Color(クロマ:古代彫刻の色彩)」展(2022年7月5日〜23年3月26日)の展示風景。Photo: Anna-Marie Kellen. Courtesy of The Met

古い時代の仏像を復元すると、現在の姿とはほど遠い極彩色なのに驚くことがある。それと同じように、古代のギリシャ・ローマの彫刻も、今は当たり前のように考えられている白い姿ではなく、豊かな色に彩られていたという。

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5. エジプトにロゼッタストーンの返還を求める嘆願書に、2500人以上の考古学者が署名

ロンドンの大英博物館に展示されているロゼッタストーン(2021年) Photo: Han Yan/Xinhua via Getty Images

ロンドンの大英博物館にロゼッタストーンをエジプトに返還するよう求める嘆願書が、2500人以上の考古学者の署名を集めた。嘆願書に記された主張と英国側の対応をまとめた。

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6. アイルランドの「謎の石の建造物」が先史時代の貴重な遺跡と判明

アイルランド、コーク港の東岸、ロステランにあるカレイグ・ア・マイスティン  Photo: Michael Gibbons

数年前にアイルランドのコーク港で発見された墓のような石の建造物、カレイグ・ア・マイスティンは、先史時代のものか、もしくは19世紀に「ばかげた行動」によって作られたのか、専門家もよくわからないままだった。しかし、このたび先史時代の遺跡であることが判明した。

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7. 教会の下に古代ローマの巨大神殿? クロアチアの古都から遺構が見つかる

1950年代に聖ダニエル教会近くの中世墓地で発掘されたローマ神殿の構造物 Photo: F. Welc

アドリア海に面したクロアチアの古都シベニクの郊外で、古代神殿の基礎部分が見つかった。遺構が発見されたのは、ダニロ村にある18世紀に建てられた聖ダニエル教会の下やその近隣だ。この村は古代ローマの都市、リディットがあった場所とされる。

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