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  • 2022.10.25

アイルランドの「謎の石の建造物」が先史時代の貴重な遺跡と判明

数年前にアイルランドのコーク港で発見された墓のような石の建造物、カレイグ・ア・マイスティンは、先史時代のものか、もしくは19世紀に「ばかげた行動」によって作られたのか、専門家もよくわからないままだった。しかし、このたび先史時代の遺跡であることが判明した。

アイルランド、コーク港の東岸、ロステランにあるカレイグ・ア・マイスティン  Photo Michael Gibbons

これは考古学者マイケル・ギボンズの調査によって明らかにされた。巨石で人工的に作られた古墳は、長さ約25メートル、幅5メートルもの大きさで、海面上昇により長らく海中に沈んでいた。 

ギボンズはアイリッシュ・エクスミニア誌で、「門のような形で、四方を囲んだ墓のような建造物には長い石組みがそのまま残されているが、建造物の基礎であり、目立つよう高さを出すためである」と説明する。 

彼は、この石組みの一部は泥の中に埋もれていると推測。コーク港の海面がいつ上昇したかは不明だが、過去2,000年間は同じ状態であったと考えている。 

アイルランドには潮が満ち引きする場所に作られた墓のような建造物が3つあるが、カレイグ・ア・マイスティンはそのうちの1つである。 

平らな石が上に乗せられた、古代の石の建造物は、昔グラーインという女性が夫フィオン・マック・カムハイルに追われ、愛人と終の棲家にしたというアイルランドの民間伝承にちなんで「ディアムイドとグラーインのベッド」と呼ばれている。 

海岸近くに建てられていたこれらの建造物は、海岸の浸食などにより、シャーキン島唯一の巨石墓、スレイヴモア・タウンランドなど、その多くが失われている。 

カレイグ・ア・マイスティンは、これまで国が行う巨石墓の調査には含まれていなかった。というのも、40年以上前にルアイドリ・デ・ヴァレラとセアン・オ・ヌアラインが行った調査で、年代に関する疑問が報告されたためである。(翻訳:編集部)  

 *US版ARTnewsの元記事はこちら。 

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