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犬型ロボット、ポンペイの古代遺跡をパトロール中

ボストン・ダイナミクス社の犬型ロボット「スポット」が、イタリアポンペイ遺跡で考古学エリアや建造物を巡回警備している。ポンペイ考古学公園が3月28日に発表した。

古代ローマの都市ポンペイは、紀元前79年にベズビオ山の噴火で火山灰に覆われた。この俊敏なロボットは、狭い通路やでこぼこした路面などの、構造上の問題または安全性を確認するために使われている。また、盗掘者が古代遺物を盗む(後に売る)ために掘った地下トンネルも点検している。

ライカのドローン「 BLK2FLY 」、ポンペイで PHOTO ARCHAEOLOGICAL PARK OF POMPEII
ライカのドローン「 BLK2FLY 」、ポンペイで PHOTO ARCHAEOLOGICAL PARK OF POMPEII

ポンペイを「知的で持続可能な包括的管理」を実践する「 スマート考古学公園」に変える、幅広い取り組みの最新の形がスポットだ。この「統合的技術解決策」プロジェクトのきっかけは、2013年にユネスコが、ポンペイの構造的欠陥と損傷を指摘し、保存状態を改善する措置を講じなければ世界遺産から外すと迫ったことにある。

2012年にイタリアは文化関連犯罪の取り締まりを強化し、それに伴い遺跡の盗掘も減ってきている。とはいえ、周辺にはいまだ盗掘のためのトンネルが確認されている。

報道発表によると、今回の目的は「現存区域の監視の質を高めることと、復元・修復作業中の区域の進捗状況をより深く把握することで、現場と作業員双方の安全を管理すること」という。

ポンペイのガブリエル・ツフトリーゲル事務局長は、「ヌンツィオ ・フラグリアッソ 氏率いるトッレ・アンヌンツィアータ 検察庁とともに、違法採掘機によってポンペイ周辺地域に掘られた地下トンネルでこれらのロボットを試したい」と、声明で述べている。

「墓荒らしが掘ったトンネルは、安全性が極めて低い場合が多い。そのため、ロボットの活用は、より迅速かつ安全に作業を進めるための突破口となり得る」

飛行型レーザースキャナーのライカ「 BLK2FLY 」は、約66ヘクタールの現場上空を飛び、スポットと連動して3Dスキャンを実施する予定だ。記録されたデータは、更なる人的介入の必要性を調査、計画するために使われる。

こうした技術が遺跡のために開発されるのは初めてだと、ツフトリーゲル氏は話している。

本記事は、米国版ARTnews20223月30日に掲載されました。元記事はこちら

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