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クリスティーズがイタリアの投資家を提訴。約43億円で落札したシャルダン作品の支払いに応じず

約43億円で落札されたジャン・シメオン・シャルダンによる《Cut Melon》の代金が支払われていないことから、クリスティーズはイタリア人の不動産投資家を提訴した。今回の落札額は「ジャルダン作品の中で史上最高」とされたが、支払われなければその記録は幻のものとなる可能性がある。

ジャン・シメオン・シャルダン《Cut Melon》(1760) Photo: Courtesy of Christie's

クリスティーズは、同社フランス支店が開催したオークションで落札された、ジャン・シメオン・シャルダンの《Cut Melon》(1760)の代金が支払われていないとして、イタリアの不動産投資家、ナンニ・バッサーニ・アンティヴァリをパリで提訴した。

訴状によると、《Cut Melon》を2800万ドル(約43億1400万円)で落札したアンティヴァリに対し、クリスティーズは利息と違約金を含む合計2870万ドル(44億2200万円)の支払いを要求している。オークションでの落札当時、「シャルダン作品の中で史上最高額」であることや「フランスで最も高値で取引されたオールドマスター作品」として複数の記録を樹立したことが話題となった。

オークションでアンティヴァリと競り合ったのは、テキサス州フォートワースにあるキンベル美術館だった。同館が《Cut Melon》に入札した背景には、パリのオークションハウス、アールキュリアルで《Basket of Wild Strawberries》(1761)が昨年3月に競売にかけられたことが関係しているとみられる。《Basket of Wild Strawberries》は、ルーブル美術館が2500万ドル(現在の為替で約38億5200万円)以上で落札している。

スイスのサンモリッツを拠点に不動産投資を行っている39歳のアンティヴァリは、オールドマスターのオークションに参加したのは今回が初めてだったという。アンティヴァリをめぐっては、ブルームバーグが12月上旬、ロンドンに拠点を置く金融テクノロジー企業、IONグループの創業者兼CEOである元ビジネスパートナーのアンドレア・ピニャタロに対して数百万ドルの未払い債務があると報じている。同メディアによれば、ピニャタロの弁護士は裁判所に提出した書類のなかで、アンティヴァリは「逃げた」と記しているという。

クリスティーズは正式な声明を発表していないが、裁判所に提出された書類によると、過去6カ月間で再三アンティヴァリに支払いを催促してきたと主張。また、請求書の支払期限はオークションの1週間後に設定されており、アンティヴァリは何度も送金を約束していたという。

今回の裁判についてアンディヴァリの弁護士を務めるミケーレ・ミケーリにコメントを求めたが、回答は得られなかった。(翻訳:編集部)

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