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ハリケーン被害のロスコ・チャペルが5カ月ぶりに再開。破損したロスコの絵画4点も無事修復

今年7月、超大型ハリケーンで深刻な被害を受け、修復のために閉鎖されていたロスコ・チャペルが12月17日に一般公開を再開した。同館には、抽象表現主義の代表的画家、マーク・ロスコの大作14点が展示されている。

ロスコ・チャペルの外観(左奥)。手前はバーネット・ニューマンの彫刻《Broken Obelisk》。Photo: Courtesy the Rothko Chapel

12月17日、ハリケーン被害のため無期閉鎖となっていたテキサス州ヒューストンのロスコ・チャペルで、一般公開が再開された。同館は今年4月、2年をかけた拡張プロジェクトに着工したものの、7月にこの地域を襲った超大型ハリケーン「ベリル」により建物や展示品に大きな被害を受け、修復作業が進められていた。

このチャペルには、抽象表現主義とカラーフィールドペインティングの巨匠、マーク・ロスコが残した14点の巨大な絵画が展示され、屋外には同じく抽象表現主義・カラーフィールドの作家、バーネット・ニューマンの大規模彫刻《Broken Obelisk(壊れたオベリスク)》(1963-67)が設置されている。1964年にアート界の大物コレクター、ジョン・ド・メニルとドミニク・ド・メニルがロスコに依頼して建設され、1971年にオープンした。

ハリケーン被害からの復旧では、美術品保存修復師とエンジニアのチームが、壁や天井の損傷および破損したロスコの絵画4点の修復を行った。絵画はウィッテン&プロクター・ファイン・アート・コンサベーション( Whitten & Proctor Fine Art Conservation)による作業のため、チャペルから運び出されていた。

一般公開の再開にあたり、ロスコ・チャペルのエグゼクティブ・ディレクター、デイヴィッド・レスリーは声明でこう述べている。

「ロスコ・チャペルは、瞑想に浸り、深く思いをこらすための空間として多くの人に愛されています。ハリケーン以来、この空間を再び一般公開できるよう、被害を受けた建物や破損した絵画の完全修復に注力してきました。ここまでこれたのは、美術品の保存修復師や研究者、アートハンドラー、ボランティア、地域のパートナー、そしてチャペルスタッフのすばらしいチームワークと地域社会による努力の賜物です。そして、再開がクリスマス休暇時期に間に合ったことを、とても喜ばしく思います」

アメリカ合衆国の国家歴史登録財であるロスコ・チャペルは、特定の宗教・宗派と関係なく、「全ての祈る人」のために作られたランドマークとして知られている。(翻訳:石井佳子)

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