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セザンヌ生家の壁に描かれた未発表作品を発見! 世紀の発見に地元は熱狂

フランスのエクス=アン=プロヴァンスにある画家ポール・セザンヌ(1839-1906)が生まれ育った邸宅の改修工事中に、セザンヌが初期に描いた壁画が見つかった。2月20日、アートニュースペーパーが伝えた。

新たに発見されたセザンヌの壁画を確認する人々。Photo: Aix Ma Ville/Face Book

壁画が見つかったのは、金融業を営んでいたポール・セザンヌの父がジャ・ド・ブッファンに建てたセザンヌの生家(ジャ・ド・ブッファン邸)。セザンヌとその姉妹はその後1899年に、この家をグラネル=コルシー家に売却した。これまで邸宅からは、セザンヌが1859年から1869年にかけて描いた9つの壁画が見つかっており、それらはキャンバスに移されてパリのプチ・パレ美術館やオルセー美術館、クライスラー美術館、尾道のなかた美術館などに収蔵された。

10番目の発見となるこの壁画は、 2023年8月、セザンヌとこの地域とのつながりを称える祭典の準備のために、現在は資料館となったジャ・ド・ブッファン邸の改修工事を行ったところ、大広間の壁から見つかった。

《Entrée du port(港の入り口)》と名付けられたこの壁画は、風になびく長いペナント、船のマストの上に立つ旗のようなもの、そして端には並び建つ建物が描かれている。アートニュースペーパーによると、セザンヌはこの壁画を制作する際に、クロード=ジョゼフ・ヴェルネまたはクロード・ロランの作品を意識したという。《Entrée du port》はカタログ・レゾネにも正式に登録される予定だ。

専門家によれば、セザンヌは1864年に、この壁画の上に《Jeu de cache-cache》を描いて部分的に隠し、その後、グラネル一家によって残りの部分が覆い隠されたという。

《Entrée du port》は、エクス=アン=プロヴァンスに残るセザンヌの唯一の作品だ。エクスの市長ソフィー・ジョワサンはフェイスブックで、この発見を「セザンヌは私たちに感動を与えてくれました。エクス=アン=プロヴァンスは、彼との関係を語り継いでいきます」と喜び、「彼は町の象徴であり大使です」と称えた。(翻訳:編集部)

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