クールベの《世界の起源》に赤ペンキで「Me Too 」。女性アーティストが美術界の女性差別に抗議
5月6日、フランスのポンピドゥー・センター・メスで開催中の展覧会で、ギュスターヴ・クールベの《世界の起源》（1866）をはじめとする5作品に、女性アーティストらによって「Me Too 」とペンキで書き込まれる騒動が起こった。
ギュスターヴ・クールベ《世界の起源》（1866）Photo: Getty Imagesパリ・オルセー美術館に所蔵されているギュスターヴ・クールベ《世界の起源》（1866）は、画面一杯に女性の臀部が描かれた「19世紀の最もスキャンダラスな作品」として知られている。
同作品は現在、ポンピドゥー・センター・メスでの「LACAN, THE EXHIBITION：When Art Meets Pscyhoanalysis」（5月27日まで）で展示されているが、5月6日、ベルギー在住のアーティスト、デボラ・デ・ロベリスと他1人が《世界の起源》を含む5つの展示作品に「Me Too」と赤ペンキで書き込んだ。「Me Too」とは、2017年に興った性的暴行やハラスメントを告発する社会運動の合言葉だ。デ・ロベリスらは一連の抗議行動を終えた後、警備員によって退場させられるまで「Me Too」と繰り返し叫んでいたという。文字が書き込まれた作品の中には、デ・ロベリス自身の写真作品《Mirror of Origin》や、フランス人アーティスト、アネット・メサジェの刺繍作品《I Think Therefore I Suck》（1991）もあり、それらは状態確認のために撤去された。
デ・ロベリスはその後、「On ne sépare pas la femme de l'arte（女性を芸術から切り離すことはできない）」というメッセージと共に抗議行動の様子を撮影した動画を投稿した。彼女が発表した声明によれば、この抗議は美術界における「女性差別による分裂」を暴露するためのものだという。そしてこう主張した。
「私は、女性器のあるなしにかかわらず、全ての女性やインターセックスやトランスセクシャル、ノンバイナリーの人々、そして、アートの世界ではアーティストに限らずアシスタントやインターンなどの過小評価されている全ての人々に、自分自身を主張する勇気を持つよう呼びかけます」
アート・ニュースペーパーによると、メス市のフランソワ・グロスディディエ市長は、この抗議行動を「極端なフェミニストによる文化への新たな攻撃」と非難。メス市警は、2人が起訴されたかどうかについては明らかにしていない。
ドゥ・ロベリスは美術館で度々抗議行動を行っており、2014年には、オルセー美術館に展示された《世界の起源》の前で自身の陰部を露出させたほか、2016年にも同作品の前で裸体になった。（翻訳：編集部）
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