イタリアで窃盗グループ捕縛の大作戦。軍警察が3500点超の古代遺物を押収
イタリアで、3500点以上にのぼる貴重な古代遺物が窃盗グループから押収された。5月下旬にプーリア州で行われた記者会見で、数百人を動員した大規模作戦の結果が発表され、CNNによると21人の容疑者が逮捕されている。
イタリアの軍警察カラビニエリの文化財保護担当部署は、特殊作戦部隊や空挺部隊による協力の下、数十件の一斉捜索を実施。容疑者グループは、「計り知れない歴史的、文化的、金銭的価値を持つ」遺物の窃盗、盗掘、不正売買に関わったと見られている。
イタリアのラ・ガゼッタ・デル・メッツォジョルノ紙によると、今回の作戦は、密売グループが活動の拠点としていたプーリア州カノーザ・ディ・プーリアの古代名にちなんで、カヌシウム作戦と呼ばれている。プーリア州、バジリカータ州、カンパニア州、ラツィオ州、アブルッツォ州にまたがる広域捜査と作戦準備は、1年近くに渡り続けられていた。
カヌシウム作戦でこれまでに21人の容疑者が逮捕されたが、捜査当局によると、盗掘や国際的不正売買、仲買に関わった容疑者は全部で51人いるという。この窃盗グループは、コインや宝飾品、壺などの考古学的遺物を国内外の市場で売買していた。
今回押収された3586点の遺物には、紀元前4世紀頃の織機に使われていた錘(おもり)、クラテールと呼ばれる大型の甕、水差し、カップ、皿、小型の花瓶、オイルランプ、コインなどが含まれている。フランチェスコ・トスト検事によると、これらの遺物は希少価値が高く、コインだけで推定5万~6万ユーロ(約750万〜900万円)になるという。
CNNによると、盗掘を裏付ける物証として、60台の金属探知機、金属製の長シャベルや大型の釘なども押収されている。(翻訳:石井佳子)
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