ニューヨーカーが愛したミミズクの死を悼み、記念碑建設の署名活動がスタート。「そのご機嫌な姿を私たちは忘れない」
ニューヨークのセントラルパーク動物園から2023年に脱走したミミズクのフラコが、2月24日にビルに衝突して死亡した。市民たちに愛されたフラコの存在を記念すべく、ある男性がセントラルパーク内に記念碑の建設を求める署名活動を開始した。
2023年に飼育小屋の金網が破壊され、セントラルパーク動物園から脱走したユーラシアワシミミズクのフラコは、その後1年ほどにわたり、ニューヨーク市内で自由にたくましく生きる姿で地域住民を魅了した。そんなフラコが2月24日にビルに衝突して死亡したことを受け、セントラルパーク内のフラコがねぐらとして使っていた場所の近くに、「枝が突き出た台座と、等身大のフラコ像」建設を呼びかけるオンライン署名活動が立ち上がった。3月4日時点で、すでに3500人以上の署名が集まっている。
園内で飼育されてきたにもかかわらず、都市環境の中で生き延びたフラコの存在はニューヨーカーの心に深く響き、万難を排して生き延びることとレジリエンスの象徴となった。嘆願書の提出者であり、ニューヨーク市内に長年住むマイク・ハバードは、多様な背景をもつ人々の間に団結をもたらす驚くべき力がフラコにはあったと強調する。
ニューヨーカーたちはすでに、セントラルパーク内に写真やデッサン、そして花などでフラコを弔う祭壇のような場所を即席で作っている。しかしこれまで、セントラルパークに彫像を設置するプロセスは複雑かつ時間がかかるため、最終的に承認されるケースはほとんどない。
「野生の生活に素早く適応したフラコの姿は、世界中の人々に勇気を与えました」
X(旧Twitter)でManhattan Bird Alertを管理するデイビッド・バレットは、アートメディアHyperallergicにこう語る。「フラコは死ぬ前に、アッパー・ウエスト・サイドにある20階建てのビルの屋上から鳴いていました。そんな彼のご機嫌な姿を私たちは忘れることはありません」
シベリアからエチオピアにかけて広大な範囲に生息するユーラシアワシミミズクは、飼育下であれば60年も生きることができる。だが、フラコは14歳の誕生日を迎える直前に悲劇的にこの世を去ってしまった。こうしたなか、セントラルパーク動物園を管理する野生生物保全協会(WCS)は、2023年にフラコが飼育されていた金網が何者かによって破壊され、つかの間の自由を手に入れてしまったことがフラコの死因だとし、野生動物の知識をつけ保護することの重要性を強調した。(翻訳:編集部)
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