ビヨンセがNYの美術館をジャック! 最新アルバム『Cowboy Carter』のゲリラ的なプロモーションを実施
3月29日にリリースされるビヨンセのニューアルバム『Cowboy Carter』のプロモーションとして、アルバムのジャケットやリリース日がニューヨークの美術館にプロジェクションされた。グッゲンハイム美術館によると、このプロジェクションの許可は与えておらずゲリラ的にこの宣伝は行われたようだ。
3月29日にリリースを控えたビヨンセの待望のニューアルバム『Cowboy Carter』。そのプロモーションの一環として、リリース日やアルバムのジャケットなどがニューヨークのいくつかの美術館に映し出された。
プロジェクションが施された美術館には、グッゲンハイム美術館やホイットニー美術館、ニューミュージアム、ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインが含まれる。フランク・ロイド・ライトによってデザインされたグッゲンハイム美術館のロタンダには、「これはカントリーアルバムなんかじゃない。『ビヨンセ』のアルバムだ」という文章が映し出された。
これは、ビヨンセが3月19日にInstagramに投稿したキャプションを引用したもの。そこでは、彼女が考えるカントリー・ミュージックというジャンルや、同じジャンルで活動するアーティストから歓迎されていないと感じたこと。そして、ビルボードのホット・カントリー・ソング・チャートで黒人女性として初めてシングル1位を獲得するまでに受けた批判について詳しく記されている。
ビヨンセは、美術館の位置情報を表示した画像を3月20日にInstagramのストーリーズに投稿した。
『Cowboy Carter』のジャケットには、ロデオクイーンに扮するビヨンセの姿があり、星条旗を掲げながら白馬に横乗りしている。この画像は3月20日にニューミュージアムとホイットニー美術館、そしてミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインに投影された。
グッゲンハイム美術館のInstagramアカウントは、フランツ・マルクが1910年に制作した絵画《Three Horses Drinking》の画像に「This ain't Texas(ここはテキサスではない)」というキャプションをつけて投稿し、ビヨンセのファンたちに対して目配せをしている。投稿されたキャプションは、新アルバムのリードシングルの一つである「Texas Hold 'Em」のオープニングラインだ。
ところが、メールで配信された美術館側の正式な声明によると、「(グッゲンハイム美術館は)今回のプロモーション活動について知らされておらず、承認もしていません。とはいえ、当館の象徴的なファサードに5月16〜20日に投影されるジェニー・ホルツァーのプロジェクションを、ビヨンセと彼女の熱心なファンも含め皆さんに観に来ていただきたいです」と、記されていた。
また、ネット上では、グッゲンハイムが現在開催中の展覧会「Going Dark: The Contemporary Figure at the Edge of Visibility」には「28人のアーティストが100点以上の作品を展示しており、その大半が黒人で半数以上が女性だ」とコメントするファンもいた。
アルバムの宣伝にビヨンセが美術館を用いたのは、ジェイ・Zとのコラボアルバム『Everything Is Love』と、「Apeshit」のミュージックビデオを発表した2018年のことだった。ミュージックビデオのほとんどはパリのルーブル美術館で撮影されており、《モナ・リザ》を含む傑作がドラマチックに映されていた。ルーブルのウェブサイトには、「Apeshit」に登場した作品を見て回るための案内が今でも掲載されている。
ビヨンセがアルバムのプロモーションのために使ったほかの美術館にコメントを求めたが、回答は得られなかった。(翻訳:編集部)
from ARTnews