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バーニングマンがウェブサイトからスイカ型の作品を削除。「反ユダヤ的な表現」との訴えに対応

毎年夏にネバダ州のブラックロック砂漠で行われるアートと音楽の祭典「バーニングマン」が、ウェブサイトから親パレスチナ派のアート作品を削除した。作者はガザを拠点とするグループ「Decolonize Now(今、脱植民地化を)」だった。

2023年のバーニングマンに集まった参加者。Photo: Julie Jammot/AFP via Getty Images

カルチャーメディアのハイパーアレジックが報じたところによると、毎年8万人規模の参加者を集める一大イベント「バーニングマン」のウェブサイトから、親パレスチナ派のアート作品が削除された。その数日前から、オンライン署名サイトChange.orgで削除を求める声が広がっていたという。

削除された彫刻作品のタイトルは、《From the River to the Sea(川から海まで)》。ヨルダン川から地中海までがパレスチナの領土であるという主張を表し、イスラエル軍によるガザ攻撃に対する抗議として叫ばれるスローガンに由来する。周知の通り、ハマスがイスラエルを急襲した昨年の10月7日以来、ガザでは3万5000人を超える死者が出ている。

Change.orgでの署名募集ページは、この作品に「イスラエルの破壊を呼びかける表現」が含まれるとしている。「川から海まで」というフレーズについては、先月アメリカ下院も反ユダヤ的だとして公に非難を行った。

《From the River to the Sea》は、パレスチナ旗の赤、黒、緑と同じ色の、切り分けられたスイカの形をしたグラスファイバー製の巨大彫刻。スイカは、その色からパレスチナの抵抗のシンボルになっている。Change.orgには1350人以上の署名が集まり、作品の完成予想図とその説明を削除するよう主催者に求めた。

削除の理由についてバーニングマンの広報担当者ドミニク・デバッコイ=ドドリーは、「実際には会場で展示されない可能性が高く、バーニングマン・コミュニティへの感情的な刺激を意図したもの」だと、サンフランシスコゲート紙の取材に答えた。

バーニングマンには制作助成金を支給するプログラムもあるが、主催者が定めた安全基準を守る限り、誰でも作品を制作することができる。制作予定リストによると、《From the River to the Sea》を提出したのはガザを拠点とする「Decolonize Now(今、脱植民地化を)」というグループだが、連絡先やウェブサイトのURLは記載されていない。

今年のバーニングマンは、8月25日から9月2日まで開催予定。(翻訳:石井佳子)

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