歌舞伎町「デカメロン」新ディレクターに磯村暖。あらゆる境界を越える「クィアなスペース」に

新宿・歌舞伎町のアートスペース「デカメロン」は、2025年3月より新ディレクターにアーティストの磯村暖を迎え、新体制となることが発表された。

新宿・歌舞伎町のギャラリー、デカメロン
新宿・歌舞伎町のギャラリー、デカメロン。1階はバー、2階に展示スペースがある。

現在東京を拠点に活動する磯村は、1992年東京都生まれ、東京藝術大学で油画を専攻し、2016年に卒業。その後は、現代社会への眼差しを基軸としながら、サイエンスフィクション的なイマジネーションやユーモア、深刻さが混然とした作品群を制作してきた。近年は「恐竜は人間に進化しませんでした」(2024年、SIGNAL)、「カ」(2023年、EUKARYOTE)など、精力的に個展を開催している。

デカメロンのディレクターに就任した磯村暖。

「デカメロン」はコロナ禍の2020年に開廊。1348年からヨーロッパで猛威を振るったペストの様子を克明に綴ったボッカッチョの物語集『デカメロン』を店名に冠している。以来、アーティストや観客が交差するコミュニケーションスペースとして、実験的な現代アートの展覧会を開催し続けてきた。

1階のバーを担当する「ぱにぱにぱにぱにともちんぱ」。新時代のギャルたちの表現の場を目指す。

磯村による新体制のデカメロンは、歌舞伎町の独自性を活かし、「人間」という固定観念にとらわれない、あらゆる境界を飛び越えるクィアなスペースづくりを目指すという。1階のバースペースは、ドラッグクィーンをはじめとする新しい時代の概念としての「ギャル」たちの表現の場として位置づける。このスペースの運営は、磯村と旧知の仲である「プロのギャル」グループ、「ぱにぱにぱにぱにともちんぱ」が担当し、多様性と創造性に満ちた新しい体験を提供する。なお、2階は展示スペースとして、実験的な現代アートの展覧会を引き続き開催していく。

デカメロン
住所:東京都新宿区歌舞伎町1丁目12-4
営業時間:1Fバースペース 20:00~29:00(変更になる場合あり)、2Fギャラリースペースは展覧会により変動
休廊日:不定

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