2500年前の鮮やかな壁画を古代エトルリア人の墓所から発見。踊る男女や鍛治の場面も
エトルリアの古代都市タルクイニアの墳墓群から発掘された墓所で、鮮やかな赤い色で描かれた2500年前の壁画が確認された。埋葬された一族の生業を示唆する場面も見つかっている。
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古代エトルリアの遺跡の一つ、タルクイニアの墳墓群で2500年前にさかのぼる色鮮やかな壁画が見つかった。イタリア・ラツィオ州ヴィテルボ県と南エトルリアの考古学・美術・景観管理局が2月6日に発表した。
ローマの北西70キロほどの地域にあるこのネクロポリス(墓地遺跡)は、紀元前8世紀から約500年間この地域に居住していたエトルリア人によって築かれた。エトルリア文化は古代ギリシャや古代ローマに多くの影響を与えたが、紀元前3世紀頃からローマの支配下に入り、次第に同化されていった。
タルクイニアでは、約6500の墳墓が確認・分類されている。そのうち絵画装飾が施されているのは200ほどで、具象的な壁画が描かれているものはさらに少ない。
今回発表された6438号墓の壁画には、フルート奏者のそばで踊る男女、2人の男性とその隣にいる女性、金属加工の作業場など、さまざまな場面が鮮やかな色彩で描かれている。ただし、碑文や遺骨、副葬品が失われているため、この墓は略奪に遭った可能性が高いと見られる。
考古学研究者のチームを率いて発掘を行ったフィレンツェ国立考古学博物館のダニエレ・フェデリコ・マラス館長は、科学ニュースサイトのライブ・サイエンスにこう語っている。
「壁面の一つに描かれた絵には鍛冶工房が含まれています。これは他に類のないもので、この墓に埋葬された一族の富の源泉を垣間見ることができます。つまり、彼らは金属加工を生業としていたということです。そして、音楽と踊りのシーンは、一族の葬儀で行われる儀式を示していると研究者は解釈しています」
この墓所は、崩壊した別の墓の下から2022年に発見され、発掘と調査が続けられてきた。調査は現在も進行中で、今後はマルチスペクトル画像を用いた分析を行い、どの色が失われたか、あるいは退色したかを明らかにすることが計画されている。(翻訳:石井佳子)
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