《モナリザ》にケーキがこすりつけられるも防弾ガラスで無事。男を拘束
2022年5月29日、パリのルーブル美術館で、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画《モナリザ》にケーキがこすりつけられるという前代未聞の出来事が起こり、SNSで話題になった。幸いなことに作品は防弾ガラスに保護されていたため、損傷はなかった。
事件直後に撮影されたと思われる動画では、女装した人物が車いすに乗ったまま、警備員に連れられて美術館の外に出ていく様子が映し出されている。その後、36歳の男であることが判明した。容疑者は逮捕され、精神科施設に収容されたと報じられている。
容疑者は動画の中で「地球環境を破壊している人たちがいる。全てのアーティストよ、地球環境について考えるべきだ。だから私はこれをやったんだ」と主張していた。
ルーブル美術館の広報担当者は、ケーキで《モナリザ》を汚した男について、同美術館が捜査当局の協力を得て被害届を出したことを明らかにし、「事件発生後、迅速に手腕を発揮した捜査官に敬意を表する」との声明を発表した。
《モナリザ》はルーブル美術館の目玉であるだけではなく、世界でもまれな規模の見学者を集めている美術品だ。パリの美術館関係者によると、コロナ禍以前は1日3万人が鑑賞に訪れていたという。
その人気ゆえに、過去にも繰り返し、ときには多様な問題への抗議活動として破壊行為の対象になっている。1974年に東京の国立美術館で特別展示された際には、女がスプレーで落書きをする事件が起きた。また2009年にはロシア人の女が作品にティーカップを投げつけたが、いずれも損傷はなかった。
1911年には盗難事件が起き、イタリアの愛国主義者がルーブル美術館から《モナリザ》を持ち出すことに成功したが、フィレンツェの取引業者に売却しようとして逮捕された。(翻訳:清水玲奈)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年5月30日に掲載されました。元記事はこちら。