古代人に感染症や骨の異常の痕跡。エジプトで新発見の墓所からミイラ化した遺体を発掘
6月23日、エジプト南部の都市アスワンで33基の古代墓が発掘されたとエジプト観光・考古省が発表した。墓から見つかったミイラ化した遺体・遺骨には若年層と見られるものも多く、何らかの疾患を抱えていたと分析されている。
UAEのニュースメディア、ナショナルによれば、エジプトとイタリアの合同調査団がアスワンで発掘した33の墓は、紀元前7世紀頃の古代エジプト後期からプトレマイオス朝を経て紀元7世紀の古代ギリシャ・ローマ時代に至るまで、長期にわたるものだという。古代に交易の中心地として栄えたアスワンでは、これまでも数々の考古学的発見が報告されている。
墓所からはミイラ化した遺体や人骨が見つかっており、その3〜4割が乳児期から青年期までに早死にしたと考えられている。中には、成人女性と1〜2歳と見られる幼児が寄り添うように並んでいた墓もあった。
発掘に携わったミラノ大学エジプト学・考古学教授のパトリツィア・ピアチェンティーニによると、感染症や骨の異常、貧血、栄養失調、胸部疾患、結核、骨粗しょう症に罹患していた痕跡が確認されたという。
一方、発掘チームのエジプト人考古学者、アブドゥル・モネイム・サイードは、今回発見された墓は中流階級に属する家族のもので、埋葬地の別の場所にある上流階級の墓所とは分けられていた可能性が高いと述べている。
発掘調査では土偶や木製の棺なども見つかっており、さらなる発掘作業と分析が続けられる予定。(翻訳:石井佳子)
from ARTnews