公園の建設現場から古代ローマの別荘跡地を発見。所有していたのは博物学者の大プリニウス?
イタリアのヴェスヴィオ山からおよそ30キロメートルほど離れたところに、古代ローマ時代の博物学者である大プリニウスが所有していたとされる別荘の跡地が発見された。今回の発見によって、周辺の海軍基地に関する新たな歴史的情報が発見される可能性がある。
イタリアのナポリ近郊で、古代ローマの哲学者であるガイウス・プリニウス・セクンドゥス(大プリニウス)がヴェスヴィオ山の噴火を目撃したとされる海辺の別荘跡が発見された。この遺跡は、公園を建設するための掘削作業中に発見されたという。
西暦79年にヴェスヴィオ山が噴火した際、大プリニウスは人々を救助するために火山に向かって船を出したとされている。そして大プリニウスは、ほどなくして有毒ガスにおかされ命を落としたと、彼の甥であり養子として迎えられたガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス(小プリニウス)は記している。
大プリニウスはナポリ近郊のミセヌムで海賊の襲撃を退けるローマ西部艦隊の司令官として裕福な暮らしを送っており、『博物誌』の著者として知られる多作な作家だった。
ヴェスヴィオ山の噴火は、ポンペイやヘルクラネウムといった古代ローマの大都市を含む地域に多大な損害を及ぼした。
プンタ・サルパレッラでこのほど発見された遺跡は、公園を作るためにプールが撤去された後に姿を現した。古代ローマ時代にはミセヌムと呼ばれ、主要な港湾都市であったナポリのバーコリに位置するこの町の特徴は、プリニウスが残した記述と一致している。
イタリア文化省によると、新たに発見された別荘からヴェスヴィオ山はわずか32キロメートルほどしか離れておらず、大プリニウスが過ごしていた別荘である可能性が高いという。大プリニウスは、彼が所有していた複数の邸宅でローマの上流階級たちを宴会でもてなしていた(しかし、今回発見された別荘は、別の裕福なローマ市民のものであった可能性もあると考古学者たちは指摘している)。
現存している壁はトゥファと呼ばれる柔らかい石灰岩でできており、海岸まで伸びていたと、イタリア文化省の考古学者であるシモーナ・フォルモラはCNNに語っている。また当時は、10室の大きな部屋と、景色を一望できるテラスが複数設置されていたことが推測されている。発掘調査によって、この別荘と近隣の海軍基地に関する新たな情報が発見される可能性があり、数カ月にわたって調査は続く予定だ。(翻訳:編集部)
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