バンクシーの希少な油彩画がオークションに! 出品者はパンク界のレジェンド、マーク・ホッパス
アメリカのポップ・パンク・バンド、ブリンク182の共同設立者でベーシストのマーク・ホッパスが所有するバンクシーの貴重な油彩画が、3月4日のサザビーズ・ロンドンでのオークションに出品されることになった。
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アメリカのポップ・パンク・バンド、ブリンク182の共同設立者でベーシストのマーク・ホッパスが所有するバンクシーの絵画が、オークションに出品される。
ブリンク182は1992年に結成され、2005年に一度活動休止するも、2009年に活動を再開。『エニマ・オブ・アメリカ』など5枚のアルバムは全世界で2000万枚以上を売り上げた。現在のメンバーは、ホッパスに加え、トム・デロング、トラヴィス・バーカーの3人。
今回マーク・ホッパスが出品するのはバンクシーの油彩《Crude Oil(Vettriano、原油・ベットリアーノ)》(2005)。2005年にロンドンのノッティングヒルで開催されたバンクシー初となるギャラリー展「Crude Oils: A Gallery of Re-mixed Masterpieces, Vandalism, and Vermin(原油:リミックスされた名画ギャラリー、破壊行為、害虫)」で展示された作品で、スコットランドの画家ジャック・ベットリアーノの1992年の絵画《The Singing Butler》を再解釈したものだ。ほかにもこの展覧会では、ゴッホの《ひまわり》、エドワード・ホッパーの《ナイトホークス》、モネの風景画などがバンクシーの手により描かれていた。
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ホッパスは2011年に《Crude Oil(Vettriano)》を購入した。彼は同作について、声明で次のように述べている。
「この絵を見た瞬間から私は魅了されました。紛れもないバンクシー作品でありながら、一味違う趣があります。私はこの12年間《Crude Oil(Vettriano)》を家に飾り、作品は家族の証人となりました。ロンドンの家ではダイニングルームで家族が朝食をとり、息子が宿題をする様子を、ロサンゼルスの家ではリビングルームで家族が笑い涙する姿やパーティー、ときには口論する様子を見守ってきました」
同作は3月4日に開催されるサザビーズの「モダン&コンテンポラリー・イブニング・オークション」の目玉として出品される。予想落札価格は300万ポンドから500万ポンド(約5億7000万円~約9億5600万円)。ロサンゼルスの山火事を受けて、作品の売却益の一部は、カリフォルニア消防基金および2つのロサンゼルスの医療慈善団体(ロサンゼルス小児病院のChild Life ProgramとCedars Sinai血液腫瘍学研究所)に寄付されるという。このオークションではほかにも、パブロ・ピカソ、奈良美智、アントニー・ゴームリー、ロイ・リキテンスタインらの作品も出品される予定だ。
サザビーズ・ヨーロッパ会長のオリバー・バーカーは今回の出品について、声明で次のように述べている。
「これは単なる象徴的なバンクシー作品ではありません。音楽界のレジェンド、マーク・ホッパスが大切にしてきた作品です。その反抗的な精神、生々しいエッジ、飾り気のない表現。これらはマークの世界を形作ったパンク文化の基本要素でもあります。ストリートアートとパンクロックは同じ言語を共有しており、アウトサイダー、反逆者、見過ごされた者たちに語りかけるのです。両者とも周縁から生まれ、権威に挑戦し、ルールを書き換えます。これはマークとバンクシーが共有する根本的な特徴です。今回マークは、《Crude Oil (Vettriano)》の世界を共有することで、芸術が持ちうる真の力である会話を喚起し、私たちの世界の見方に挑戦する力を他者の目に示すことになるでしょう」
《Crude Oil(Vettriano)》は、2月20日までサザビーズ・ニューヨークで一般公開され、その後2月26日から3月4日までサザビーズ・ロンドンでプレビュー展示が行われる。(翻訳:編集部)
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