NYの中堅ギャラリーが香港から撤退。「現地コレクターのアートの買い方に変化」
ニューヨークやロンドンに拠点を置くギャラリー、レビー・ゴービー・ダヤン(LGD)が2024年末に香港のギャラリーを閉鎖することを発表した。背景には、コロナ禍によるアートをめぐる購買行動の変化があるようだ。
2021年に創業したギャラリー、レビー・ゴービー・ダヤン(LGD)は、2024年末をもって香港のギャラリーを閉鎖すると、フィナンシャル・タイムズが7月4日に報じた。同ギャラリーのアジアのオペレーションを率いるレベッカ・ウェイは同紙の取材に対して次のように語る。
「クライアントたちのアートの買い方が変わったのが、閉鎖の大きな理由です。私がLGDで働き始めたころは、専門家に直接会って、作品を自分の目で見たがる人がたくさんいました。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、顧客は作品を実際に見ないで購入することに慣れた上、ギャラリー側がクライアントのところに出向くよう求めるようになったのです」
クリスティーズのアジア代表を過去に務めていたウェイは、2020年にパートナーとしてLGDに入社。当時は新型コロナによる行動制限がかけられており、ヨーロッパの拠点を縮小運営していたことから、同ギャラリーは、アジアのアートマーケットの需要に応えるべく再び力を注いでいた。フィナンシャル・タイムズによると、ウェイは香港に残りLGDと協働し続けるというが、彼女の役職は未確定のままだという。
こうしたなかウェイは、「顧客との対面業務をどれくらい続けていくのか、LGDと話し合っている最中です」と語った。
共同創業者のドミニク・レビーは、アジア市場におけるLGDの将来について前向きな見解を示しており、声明には次のように記している。
「閉廊するとはいえ、完全に香港からいなくなるわけではありません。私たちは現在のギャラリーを閉めて、変化しているアーティストやクライアントの要望に適合しようとしているのです。レベッカ・ウェイとのパートナーシップを続け、トゥ・ホンタオを含むアーティストに対するサポートも継続しながら、アーティストやクライアントのニーズにより迅速に応えられるよう対応していく予定です」
LGDの香港拠点には、プライベート・ビューイング・ルームと図書館、研究センター、オフィス、そして一般公開されている展示スペースが設けられていた。
同ギャラリーは、3月8日まで現代肖像画とポップ・アートのつながりをテーマにしたグループ展「Portraits Go Pop!」を開催し、デリック・アダムスが描き下ろした7点の新作ペインティングの展示を2022年に実施していた。
LGDは、ドミニク・レビー、ブレット・ゴービー、アマリア・ダヤン、ジャンヌ・グリーンバーグ・ロハティンによって2021年に創業したが、ロハティンは2023年に退社している。(翻訳:編集部)
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