80歳目前のラリー・ガゴシアン、250億円超のウォーホル落札は「アドレナリンが出た」。引退は「未定」
世界屈伸の影響力を持つ80歳のアートディーラー、ラリー・ガゴシアンが、アメリカCBSテレビの看板番組「CBSニュース サンデーモーニング」に出演。アート作品の高額化や引退時期について語った。

世界4大メガギャラリーの1つ、ガゴシアンのオーナーであるラリー・ガゴシアンが、「CBSニュース サンデーモーニング」の著名人にインタビューを行うプロフィールコーナーに出演した(2月23日放送)。
ガゴシアンは世界各地に18のギャラリーを展開。取り扱い作家はパブロ・ピカソからアンディ・ウォーホル、ダミアン・ハースト、村上隆など100人を超える。7分間のプロフィールコーナーでは、今年80歳になるガゴシアンが、ギャラリーのトップとしてどんな「苛酷なビジネス」をこなしているのかが語られた。
冒頭では、ガゴシアンが2022年にクリスティーズ・ニューヨークでウォーホルの《ショット・セージ・ブルー・マリリン》(1964)を1億9500万ドル(当時の為替レートで約254億円、手数料込み)という記録的な金額で落札したことに触れ、CBS記者のアンソニー・メイスンがこう水を向けた。
「さぞかしクレイジーな瞬間だったでしょう」
これに対しガゴシアンは、「あのレベルで入札しているときは、アドレナリンが出ていますね。とてもエキサイティングです」と回答した。
また、ガゴシアンのルーツがアルメニア移民であること、また、美術の素養はなかったが、1981年にジャン=ミシェル・バスキアに出会ってすぐ3点の作品を購入したエピソードが紹介されると、彼は笑いながらこう述懐した。
「悲しいことに、全部売ってしまいました。今も持っていればよかったのですが」
メイソンは、やはり4大メガギャラリーの一角を占めるPaceの創設者、アーネ・グリムシャーが、現在のアート市場はアートそのものの価値とは無関係に動いていると指摘したことに触れ、「いかに早く儲けるかということだ」というグリムシャーの発言を引用。それについてガゴシアンはこう語った。
「彼が言っていることには、ある程度の真実が含まれています。しかし、お金だけの問題だとはまったく思いません。アートが好きでなければ、あのレベルの金額では買わないでしょう。単なる資産でも、お金だけの問題でもありません。ただ、真に素晴らしい美術作品を買うのにお金がかかるようになっただけです」
ガゴシアンは4月に80歳を迎えるが、後継者に関する発表はなく、引退については「ゴールラインと言えるものはない」とコメントしている。
さらに、これまで築き上げたアートの帝国が、自分なしに成立するかと問われたガゴシアンは言葉を濁した。
「それが問題です。不可能だとは思いたくありませんが、非常に難しいことです。でも、仕事が楽しすぎて手綱を渡す準備はまだできていません」
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