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人気「映え」スポット、アイスクリーム博物館で男性が負傷。博物館の「利益優先」体質が原因か

ニューヨークのアイスクリーム博物館に設置されたプールに飛び込んで骨折した男性が、その原因は同館が「一般市民の安全よりも⾃らの利益を優先したため」だとして、8月7日に提訴した。

2019年末の博物館オープニングでパフォーマーがポーズをとったプールが骨折の現場となった。Photo: Cindy Ord/Getty Images for Museum of Ice Cream

ニューヨーク・ソーホーにあるアイスクリーム博物館は、いわゆる通常の博物館ではなく「体験型」の施設だ。2322平方メートルの館内にはピンクの地下鉄車両やミルクシェイク・ラウンジなど「インスタ映え」する仕掛けが散りばめられており、2019年のオープン以来、数十万人の来場者を集めている。中でも同施設の目玉と言えるのが、アイスのトッピングの定番「スプリンクル」をプラスチックで模したものが敷き詰められた大きなプール「スプリンクル・プール」だ。

2023年3月31日、アイスクリーム博物館に娘と一緒に訪れたジェレミー・ショールは、このスプリンクル・プールに飛び込んだところ、足首を骨折した。2024年8月7日、ショールは同館に対して「深刻かつ永続的な人身傷害」を負ったとしてマンハッタンの州裁判所に訴状を提出した。

訴状によるとショールは、負傷の原因として美術館が「広告、マーケティング、販促物を通してスプリンクル・プールは人々が飛び込むのに適しており安全であると誤った認識をさせ、実際はスプリンクルの量が少ないため深さが十分ではなかった。⼀般市⺠の安全よりも⾃らの経済的利益を優先している」と主張している。

ショールの代理人は、彼はスプリンクル・プールでの事故によって手術が必要な怪我を負い、「精神的苦痛」が生じたと説明する。また、彼は以前と同じように職業上の職務を遂行することができないと指摘した。今後、理学療法や診断検査とともに手術が必要になる可能性があり、医療費と訴訟費用を賄うための損害賠償を求めている。

同館のスプリンクル・プールでの事故は今回だけではない。2021年には20代の女性がプールに頭から飛び込み、「息が止まりそうだった」と語っている。また、2023年8⽉12⽇にはTikTok動画で、若い⼥性がプールに⾶び込んで松葉杖をつくほどの捻挫をしたと投稿した。 同館は彼⼥に補償として無料チケットとギフトバッグを贈ったという。

アイスクリーム博物館の公式ホームページでは現在も、「世界的に有名なスプリンクル・プール」と大々的に宣伝しており、公式インスタグラムでも、人々がプールに飛び込む様子を捉えた映像がいくつも投稿されたままだ。

アイスクリーム博物館は現在、ニューヨークのほかにオースティン、シカゴ、マイアミ、シンガポールに支店があり、間もなくボストンにもオープンする。同館は2020年に従業員に対するパワハラの横行も明らかになっており、そちらの対応にも注目が集まっている。

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