韓国アーティストの年間平均所得は106万円で半数が副業。政府の調査で明らかに

韓国の文化体育観光部が韓国文化観光研究院と共同で行った調査で、国内のアーティストが1年間に芸術分野の活動で得た所得は平均1055万ウォン(約106万円)にとどまり、約半数が副業をしているという実態が明らかになった。

インワングサン山から望む韓国ソウル市内。Photo: Wikimwdia Commons

3月6日に韓国の文化体育観光部が韓国文化観光研究院と共同で「2024年手工芸職人現況調査」発表したと韓国メディアChosun bizが伝えた。

この調査は文化体育観光部の「芸術家保護法」に基づき、3年ごとに実施されている。今回は、2024年12月から2025年1月までの2カ月間、韓国国内17の道にわたる5059人の芸術家を対象に、個別面談、オンライン、電話によるアンケートを実施した。調査年は2023年とした。

それによると、調査対象となったアーティスト1人当たりの平均年間所得は1055万ウォン(約106万円)であることが分かった。これは同じ年の国民1人あたりの平均年所得である2554万ウォン(約259万円)の4割水準だ。

分野別に見ると大きな格差が見られた。2000万ウォンを超えている例では建築4261万ウォン(約431万円)、漫画2684万ウォン(約271万円)、放送・芸能2485万ウォン(約251万円)などがあったが、美術603万ウォン(約61万円)、音楽901万ウォン(約91万円)、舞踊802万ウォン(約81万円)、文学454万ウォン(約46万円)、 写真334万ウォン(約34万円)などは1000万ウォンにも届かなかった。

そのため、専業芸術家の割合は52.5%で、そのうちフリーランスの割合は61.7%。自身の作品から著作権収入を得ている芸術家は29.1%にとどまっている。

回答者のうち、キャリアが1年以上中断した経験があると答えたアーティストは23%で、その主な理由は「芸術活動による収入が不十分」(65.5%)だった。出産・育児によるキャリア中断のケースも13.9%あった。

なお、芸術活動に関する契約を締結した経験のあるアーティストの割合は57.3%で、契約締結方法は、書面による契約が86.6%、口頭による契約が13.4%だった。そのうち7.3%のアーティストが不当な契約を経験したと報告しており、不当な契約の事例としては、「契約と異なる条件を受け入れろという圧力」(63.0%)や「正当な収益分配の拒否、遅延、制限」(38.3%)などが挙げられた。

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