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ライゾマティクスがキュレーターに長谷川祐子を迎え、新作の映像作品を発表

ライゾマティクスによる展覧会「recursive」が9月14日から表参道のOMOTESANDO CROSSING PARKで開催される。会期を通して再帰的な学習を続けるAIモデルを観察できる本展覧会では、AIがもつ創造性を至近距離で目の当たりにすることが可能だ。

Rhizomatiks「recursive」メインビジュアル。Photo: Courtesy of MARPH

真鍋大度と石橋素が主宰するクリエイティブコレクティブ、ライゾマティクスの展覧会「recursive」が、東京・表参道のOMOTESANDO CROSSING PARKで9月14日から開催される(10月3日まで)。本展のキュレーションは、金沢21世紀美術館館長の長谷川祐子が務める。

技術と表現の新しい可能性を探求し、研究開発要素の強い実験的なプロジェクトを展開しているライゾマティクス。その活動は広く、ビョークやPerfume、ELEVENPLAYなど世界的に活躍するアーティストと数多くのコラボレーションを手がけ、メディアテクノロジーと身体性の関係を実践的に探求してきた。近年、東京都現代美術館やDesign Society(中国・深圳)などで個展を開催するなど、国内外の評価も高まっている。

現在もライゾマティクスは、東京・天王洲のKOTARO NUKAGAで個展「Rhizomatiks Beyond Perception」を開催中(9月28日まで)。「Rhizomatiks Beyond Perception」では、新作としてライゾマティクスが独自に作成した画像のみで学習したAIモデル「Beyond Perception Model」を発表している。

KOTARO NUKAGA(天王洲)「Rhizomatiks Beyond Perception」展示風景写真。Photo: Courtesy of Kotaro Nukaga

9月14日から開催される展覧会「recursive」では、この「Beyond Perception Model」をさらに発展させ、「AIの再帰的な自己学習と創造性の進化」を探求する現在進行形のプロジェクトを見ることができる。展覧会タイトルの「recursive(再帰的)」とは、2枚の鏡を向かい合わせたときに反射が無限に続くように、ある行為の結果が何度も繰り返される現象を指す。数学や計算機科学などでは、定義されている関数がそれ自身の定義の中で反復利用されている様子を指すようだ。

本展では、表参道の交差点に大型LEDとLEDの画面そのものを映すカメラを設置するなど、屋内外に作品を展開。LEDはAIモデルが生成した結果を表示し続け、AIモデルはカメラに映し出される自己の姿を用いて、モデル自体を進化させ続けるという。こうした再帰的な学習過程を、展示室内では観察できる。生成AIモデルは本来、自己の生成データで学習し続けると、進化ではなく崩壊する可能性も孕んでいるが、本作はAIの自己学習に人が介在することでモデルの崩壊を回避し、単なるフィードバックや機械的な学習を超えた創発的な表現を目指すという。本展は、その全容を作品として展示する実験的な試みだ。

カメラに映る鑑賞者の姿も、学習のプロセスに影響を与える可能性を秘めている本作。鑑賞者の存在が、AIの創造性にどのような影響を与えるのだろうか。ライゾマティクスが、AIと人間の共創による「recursive」な芸術体験を切り拓く。

Rhizomatiks Beyond Perception
会期:9月14日(土) - 10月3日(木)
会場:OMOTESANDO CROSSING PARK 
時間:10:00 - 20:00
入場料:無料

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