ペロタンが村上隆など23点の現代アート作品をポンピドゥー・センターに寄贈。10月に一般公開
世界各地にギャラリーを展開するペロタンが、ポンピドゥー・センターに村上隆など17人の現代アーティストによる23点の作品を寄贈した。その市場価値はポンピドゥーの年間購入予算を上回る。
パリを本拠地とするギャラリー、ペロタンの創設者でオーナーのエマニュエル・ペロタンが、ポンピドゥー・センターの国立近代美術館に23点の作品を寄贈した。ペロタンはパリのほかにも、香港、ニューヨーク、ソウル、東京、上海、ロサンゼルスに拠点を展開している。
寄贈作品の選定は、ポンピドゥーのグザヴィエ・レイ館長が同館のキュレーター陣とともに行い、村上隆、エマ・ウェブスター、ジャン=マリー・アプリユ、ジェネシス・ベランジャー、バーティ・ケール、クララ・クリスタロヴァなど、ペロタンが取り扱う17人のアーティストの作品に決定した。
ル・モンド紙によれば、ポンピドゥーのコレクションをさらに充実させるこの寄贈に、アーティストたちは快く協力したという。
寄贈されることになった23作品の市場価値は、ポンピドゥーの年間購入予算額の約200万ドル(約2億8000万円)を上回る。ポンピドゥーのような大型美術館としては潤沢な予算額とは言えないため、同館は寄贈でコレクションの拡大を図るケースが少なくない。
ペロタンはアートネット・ニュースにこう語っている。
「長年の願いだったこのプロジェクトが実現することをとても嬉しく思っています。そして、寄贈に同意してくれたアーティストたちの寛大さに感謝しています。彼らと築いてきた関係があったからこそ、作品をポンピドゥーの素晴らしいコレクションに加えるために協力し合うことができました」
一方、今回の寄贈についてポンピドゥー・センターは声明で次のように述べている。
「これらの作品は、過去20年間の現代アートを幅広く見渡すことのできるパノラマと言えます。今回選ばれたのは、すでにポンピドゥーが作品を所蔵しているアーティスト、グループ展や個展で作品が展示されたことのあるアーティスト、そして初めて所蔵品に加わるアーティストまでさまざまです」
寄贈作品は10月14日にポンピドゥー・センターの4階で公開され、ペロタンとポンピドゥーは記念の共同カタログを発行する。レイ館長とセンター長のローラン・ル・ボンがカタログに寄せた序文にはこう書かれている。
「この重要性の高い寄贈は、エマニュエル・ペロタンと彼のチーム、そして関係するすべてのアーティストの強い信念とコミットメントなしには実現し得なかったでしょう。彼らに、そしてこの素晴らしい仕事に関わったポンピドゥー・センターの関係者全てに心からの感謝を捧げます」(翻訳:石井佳子)
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