大英博物館が2年連続でトップ。イギリスの観光名所来場者ランキング2位から5位は?
大英博物館が、イギリスで最も来場者の多い観光名所に2年連続で輝いた。同国の主要な観光スポットへの訪問者数は回復傾向にあるが、2024年もコロナ禍前の水準には達していない。

先頃、イギリスのALVA(Association of Leading Visitor Attractions:主要観光名所協会)が、2024年における加盟施設400カ所の訪問者統計を発表した。それによると、昨年に続いてトップとなったのはロンドンの大英博物館で、前年比11%増となる約648万人の来場者を記録した。
第2位は、やはりロンドン・サウスケンジントンの自然史博物館で約630万人(前年比11%増)。3位はロンドンの西、ウィンザーにある王立公園のウィンザー・グレート・パークの約567万人(前年比3%増)。4位は、ロンドン・サウスバンク地区のテート・モダンで、来場者は約460万人(前年比3%減)。5位に入ったのは、近現代アートの企画展示を行うヘイワード・ギャラリーとロイヤル・フェスティバル・ホールのあるロンドンのサウスバンク・センターの約373万人で、前年比17%増の伸びを示した。
ロンドンでは、再開発による3年あまりの休館を経て2023年6月22日にリニューアルオープンしたナショナル・ポートレート・ギャラリーが、2024年に約158万人の来館者を迎え、順位を前年の27位から18位へとジャンプアップさせた(*1)。また、やはり2023年7月1日にリニューアルオープンしたヤングV&A(旧V&A子供博物館)には59万6000人以上が訪れている(*2)。さらに、イギリス南部にあるストーンヘンジの訪問者も前年比で3%増加し、2024年には136万人を超えた。
*1 ナショナル・ポートレート・ギャラリーの2024年の来場者数を2023年6月22日~12月31日と比較すると36%増となる。
*2 ヤングV&Aの2024年の来場者数を2023年7月1日~12月31日と比較すると47%増となる。
スコットランドで最も訪問者数が多かったのはスコットランド国立博物館で、前年比で6%増の231万人強を動員。スコットランド国立美術館は、前年比9%増の200万人弱の来館者を記録した。ウェールズのトップはセント・フェイガンズ国立歴史博物館の約60万人、次いでカーディフ国立博物館の約37万だった。
特に訪問者数が大きく伸びたのは、ケンブリッジ大学付属のフィッツウィリアム美術館で、前年比25%増となる過去最高の50万6000人超の来館者を記録。ニューカッスル・アポン・タインにあるレイン・アート・ギャラリーも、前年比57%増の19万人強となった。
なお、ALVAに加盟する400の観光名所への2024年における総訪問者数は1億5720万人で、前年より3.4%増。ロンドンの主要名所は同3%増、スコットランドと北アイルランドでは同3.2%増だったが、コロナ禍前の2019年の数字には届かなかった。
ALVAのディレクター、バーナード・ドノヒューは、2024年の結果を「着実だが大きな成長はなかった」とし、その背景としてコロナ禍による景気への長引く影響、物価高騰による個人消費の低迷、インバウンド需要の弱さなどを挙げた。そのうえで、声明ではこう述べられている。
「観光名所などの文化施設や歴史遺産の経済的な回復には、依然として脆弱なものがあります。しかし、消費者がレジャー支出の中で観光名所への日帰り旅行を選ぶ傾向も見られます。お気に入りの施設の会員として、特別な場所で特別な人と特別な時間を過ごすことを大切にしているのです」(翻訳:石井佳子)
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