韓国の山火事で孤雲寺が全焼、所蔵の有形文化遺産は無事に保護。「人生はなんと儚いのか」と僧侶
3月21日に韓国で発生した山火事によって、681年に建立された孤雲寺が全焼し、国宝も焼失した。火災は義城全域に広がり安東市に迫る勢いで、3万8665ヘクタールが焼失し韓国市場最悪の火災となっている。

韓国で3月21日から発生している山火事により、これまでに28人が死亡し、681年に建立された仏教寺院、孤雲寺が全焼した。義城郡の騰雲山のふもとに位置している孤雲寺まで広がった火の手は25日の強風によって悪化し、火の海に包まれたという。義城全域に急速に広がった山火事だが、27日から各地で少量の雨が降ったこともあり、消火活動が進んでいる。
AP通信によれば、燃えてしまった建造物のなかには、国宝に指定されている駕雲楼と延寿殿の2棟も含まれているという。若い頃に孤雲寺に3年以上住み込んでいたという僧侶、トリュンはAP通信にこう語る。
「朝になってから孤雲寺に行ってみたのですが、灰の山になっていました。今はものすごい脱力感に襲われています。人生はなんと儚いのでしょう」
韓国の国家遺産庁の職員は、孤雲寺に収められている石造如来坐像をはじめとする有形文化遺産を慶尚北道の各地に3月24日の午前に移動させたことから、無事であると発表している。だが、AFP通信によれば、金箔が施された仏像は大きすぎたことから綿の布と防火布に包まれ保護された。また、ユネスコ世界遺産である河回村では、歴史的建造物の茅葺屋根を守るために、国家遺産庁によって難燃剤やその他の予防措置が施された。
今回の山火事は5日間にわたり3万8665ヘクタールを焼失させた。300以上の建造物が破壊され、少なくとも3万7800人が避難を余儀なくされている。被害はすでに同国史上最悪の森林火災となっており、2000年3月の火災の被害を大きく上回っている。(翻訳:編集部)
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