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大谷翔平の「50-50」記念球に6億7000万円の過去最高額! 台湾の企業が落札も所有権争いが勃発

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平投手が史上初となる1シーズンホームラン50本、50盗塁の「50-50」を達成した際のホームランボールが10月23日にオークションに出品され、439万ドル(約6億7000万円)で落札された。

2024年9月19日、マイアミのローンデポ・パークで行われたロサンゼルス・ドジャース 対 マイアミ・マーリンズマイアミ・マーリンズ戦で1シーズンホームラン50本、50盗塁の「50-50」を達成した際の大谷翔平。Photo: Megan Briggs/Getty Images

ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平投手は、9月19日のドジャース対マイアミ・マーリンズ戦で、1シーズンホームラン50本、50盗塁の「50-50」を達成。これは メジャーリーグ史上初となる快挙で、50本塁打はこれまで32人しか達成されていない。この決定的瞬間に放たれたホームランボールが、10月22日、アメリカ・ニュージャージー州のオークションハウスGoldinに出品されたとアートネットが伝えた。

大谷翔平は1994年岩手県奥州市生まれ。北海道日本ハムファイターズで二刀流の腕を磨き、2017年にロサンゼルス・エンゼルスに移籍。ベーブ・ルース以来約104年ぶりとなる、2桁勝利と2桁本塁打を達成するなど八面六臂の活躍を見せ、2023年にロサンゼルス・ドジャースに移った。現地では「ショータイム」という合言葉で親しまれており、野球界の守護神ベーブ・ルースをはじめとする、史上最高の野球選手の1人と称されることも多い。

オークションに出品された「50-50」記念ボール。Photo: Courtesy of Goldin.

今回Goldinに出品された「50-50」達成時のホームランボールは、 メジャーリーグ(MLB)公式ボールのみに貼られるホログラム(YP431048、WSG)があり、所々黒ずんだり擦り切れたりしている。オークションは比較的スムーズに進んだが、439万ドル(約6億7000万円)という途方もない価格で決着した。落札したのは台湾の企業と言われている。これは野球ボールの過去最高額である1999年のマーク・マグワイア選手の70号ホームランボールにつけられた約300万ドル(現在の為替で約4億6000万円)を超える額だ。オークションハウスのケン・ゴールディンCEOは声明で、「大谷選手はこの野球ボールで歴史を作りました。そして今、史上最高額で落札され、この伝説的なボールは再び歴史に名を刻んだのです」と喜びを語った。

だが、このオークションの裏側は穏やかではなかった。ほかのスポーツは、ボールが観客席に入ってしまった場合は戻さなくてはならないが、野球の伝統では拾った人の物になる。大谷の「50-50」ホームランボールは、最初18歳のマックス・マトゥスがキャッチしたが、別の観客であるクリスチャン・ザチェクに奪い取られ、そのまま持ち帰られたという。オークションハウスにはザチェクが持ち込んだようだ。ボールがオークションに出品されると知ったマトゥスは、弁護士を通して「ザチェクがボールを強引に奪った」と主張した。関係者はマトゥスに何らかの交渉をしてオークション開催を可能にしたが、所有権の問題はまだ解決していない。売り上げ金は解決するまでオークションの金庫に留め置かれるという。

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