新発見のターナーの風景画を62億円でウィーンの画廊が販売中。真贋分析には査読者が見つからず

18世紀のイギリス・ロマン主義を代表する風景画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの絵画を、ウィーンのギャラリーが約62億円で売りに出している。この作品は、最近の研究で新たにターナーの真作とされた。

新発見のターナー作品を売りに出したウィーンのギャラリー・アートジヴナ(Artziwna)。Google imgaes

ウィーンのギャラリー・アートジヴナが、3800万ユーロ(直近の為替レートで約62億円、以下同)で売りに出しているのは、最近の研究で新たにウィリアム・ターナー作とされた風景画。ロンドンヴィクトリア&アルバート博物館に所蔵されている《Venice from the Giudecca(ジュデッカ運河から見たヴェネチア)》(1840)の別バージョンで、オーストリアで個人所有されていたものだ。

1840年頃に描かれたこの作品の来歴には不明な部分が多いが、1980年にオーストリアでの売買が記録されている。2005年にこれを購入した現在の所有者(名前は伏せられている)は、ターナーの真作ではないかと考え、2022年に絵を貸し出して専門家による鑑定を依頼。ギャラリー・アートジヴナの監督下で、ベルヴェデーレ宮殿の美術館やウィーン美術アカデミーなど、ヨーロッパの研究者たちによる徹底的な科学的分析が行われた。

その結果、この作品がターナーの手によるものであることが確認され、2024年10月に研究成果の全容が発表された。研究者たちは報告書の中で、ターナーが描いたことを裏付ける分析結果だとする一方、結果を査読する国際的な専門家を集められなかったと述べている。

ギャラリー・ジヴナのディレクター、ジョージ・ジヴナは報告書の序文で、「ほかにターナーの専門家を獲得することはできなかった」とし、この作品についてイギリスのテートグループに複数の問い合わせをしたが、回答は得られなかったと明かしている。

ターナーの絵画は、これまで何度もオークションで記録的な高値を樹立してきた。最高額は、2014年にサザビーズで落札された《Rome, from Mount Aventine(アヴェンティーノ山から見たローマ) 》の3,030万ポンド(約58億円)。(翻訳:石井佳子)

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