黒柳徹子、永山祐子、エズ・デヴリンらが参画。大阪・関西万博「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」をレポート

大阪・関西万博では、カルティエが内閣府、経済産業省、2025年日本国際博覧会協会と共同で「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」を出展している。

「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」ファサード。Victor Picon © Cartier

4月13日に開幕した大阪・関西万博。165の国と地域および国際機関が参加し、会場に並び立つさまざまなパビリオンの中には、アートを通じた発信に注力したものも少なくない。カルティエが内閣府、経済産業省、2025年日本国際博覧会協会と共同で出展している「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」もその一つだ。

「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」は万博東ゲート付近に位置。Photo: Victor Picon © Cartier

ウーマンズ パビリオンは2020年のドバイ万博から続くプロジェクトだ。女性の役割に焦点を当て、「When women thrive, humanity thrives(女性が輝けば 、人類 ・社会全体が輝く)」というマニフェストを受け継ぎ、「ともに生き、ともに輝く未来へ」をコンセプトに女性のポテンシャルを称えることを企図している。設計を担当した建築家の永山祐子は、ドバイ万博日本館で採用された、日本の伝統木工技術の組子に着想を得たファサードを再利用し、カルティエの持続的可能性とクラフツマンシップに対する意思を体現した。

2フロアで構成されたパビリオンの1階でまず来場者を迎え入れるのは、アーティスト、エズ・デヴリンがキュレーションしたコンテンツだ。デヴリンは万博を「ユニークな楽器コレクション、すなわち、各パビリオンがさまざまな楽器として、世界という舞台で6カ月にわたりメッセージを発信する場」と捉え、ウーマンズ パビリオンでは、来館者に、入場前と後で未来への希望と変化をもたらすエネルギーを感じてもらうことを企図したという。案内役を担うガイドの制服は、sacaiの阿部千登勢がデザインしている。

3人の女性の人生を辿ることとなる「THREE WOMEN」。Photo: Victor Picon © Cartier
シエ・バスティダの「THREE PATHWAYS」。Photo: Victor Picon © Cartier
黒柳徹子らからメッセージを受け取る「YOUR HAND」。Photo: Victor Picon © Cartier

ヘッドセットを装着してイマーシブな体験を巡る1階は、6つのセクションに区切られている。最初のセクション「YOUR NAME」では、来場者が登録した自分の名前がストーリーに組み込まれていく。「THREE WOMEN」では小説家の吉本ばなな、詩人・アクティビストのエムティハル・マフムード、環境保護活動家のシエ・バスティダのショートフィルムを鑑賞。終了後、ランダムに3人のうちの1人の人生を追体験することとなるのが「THREE PATHWAYS」だ。ガイドを聞きながら彼女たちのストーリーを鑑賞することになるのだが、次へとつながる区切りの音がやや認識しにくいので、注意して進もう。そして、内省する場「MA」が現れる。ここで円卓に座り、体験した人生をしばし解釈したあとは、「PUZZLE BOX」へと向かう。世界中の男女平等の現状が視覚的に表現されたこのセクションでは、著名人の格言や、世界の女性管理職の割合などの様々なデータが示される。そして最後を飾るのが「YOUR HAND」だ。黒柳徹子や僧侶の西村宏堂、寿司職人の三好史恵ら14人からメッセージを受け取り、約20分間の旅が完了する。

荻野寿也によるUPPER GARDEN。Photo: Victor Picon © Cartier
千葉尋とメラニー・ロランによる作品。Photo: Victor Picon © Cartier

1階でのイマーシブ体験を終えたら、2階へ。階段の壁面には木の葉に写真が載った作品が展示されている。これはアーティスト、千葉尋が独自に開発した「クロログラフ」という手法を用い、俳優・映画監督のメラニー・ロランと共同制作したもの。女性の姿が描かれたこれらの作品に耳を近づけると、何か音が聞こえて来る。ぜひ注意深く耳を傾けてみよう。そうして2階へと到着すると、景観デザイナーの荻野寿也が手掛けた植栽「UPPER GARDEN」が広がる。樹木は全て大阪で調達され、万博終了後にはまた大阪の山々に戻されるという。

2階には、プレゼンテーションだけでなく、対話する場としてスペース「WA」も設けられている。ここでは会期中、「大いなる地球」「ビジネスとテクノロジー」「教育と政策」「芸術と文化」「フィランソロピー」「役割とアイデンティティ」の6テーマについて約150もの講演やパネルディスカッションなどが開かれるという。詳細は随時、万博公式サイトとウーマンズ パビリオン公式サイトで公開される(公式サイトから申し込み可能)。

アーティスティックな演出を通じて「ともに生き、ともに輝く未来へ」のヴィジョンを示す「ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier」。万博に赴いた際にはぜひ立ち寄って頂きたい。

ウーマンズ パビリオン in collaboration with Cartier
場所:大阪・関西万博 東ゲート側 日本館の隣
会期:4月13日(日)~10月13日(月)
時間:9:00〜21:00
https://womenspavilion.cartier.com/ja/

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