クラシック音楽と現代美術をつなぐ向井山朋子、新作の制作過程と演奏が交錯するコンサートを開催
東京オペラシティ リサイタルホールにてピアニスト・アーティストの向井山朋子によるピアノソロコンサートが開催される。音楽の鑑賞行為そのものを問う現代アーティストとしても活動してきた向井山。今回はどんなコンサートとなるのか?

5月20日、東京・初台の東京オペラシティ リサイタルホールにてピアニスト、アーティストの向井山朋子によるピアノソロコンサートが開催される。
向井山はクラシック音楽の演奏家であるだけでなく、映像・パフォーマンス・空間芸術を融合させた独自の表現で活躍する現代アーティストだ。2019年には銀座のメゾン エルメスにて個展を実施。ル フォーラムの空間にピアノが吊られ、早朝・深夜などに自身のコンサートが行われるというインスタレーションが話題となった。演奏のみならず、舞台や空間、観客、演奏者の体験を含めた作品制作に取り組んでいる。

今回のコンサートで向井山が奏するのは、現代作曲家ジョン・ケージの『Four Walls』とアレクサンドル・ラスカートフの『コンソレーション(慰め)』。前者は、ケージの代表曲の一つで「環境音を聞く」作品『4分33秒』の先駆けで、後者はロシアからフランスに移住したラスカートフの祈りのような作品。どちらも聴く行為を問うてくる楽曲だ。
また、7月にオンラインで発表する新作映像作品『ここから』の制作過程で交わされた、他分野のクリエイターたちとの対話、アイデアの交換、未完成の映像の断片を、事前にプログラムノートとしてオンラインで配布する。ピアノコンサートでありながら、映像作品のコンセプトが作られていく過程を観客と共有する「ワーク・イン・プログレス公演」と言える試みだ。『ここから』は7月1日にオンラインで無料配信される予定。
意欲的なプログラムで構成される本公演で、ぜひワーク・イン・プログレスの当事者の一人となってみてはどうだろう。