イスラエルの2026年ヴェネチア・ビエンナーレ参加は実現するのか。パビリオン改修計画が難航

2026年に開催される第61回ヴェネチア・ビエンナーレに、イスラエルが参加できない可能性があると同国のメディアが報じた。イスラエルは2024年のビエンナーレに参加したものの、ガザ停戦を訴える代表作家らによって会場が閉鎖されたまま終わっている。

2024年ヴェネチア・ビエンナーレのイスラエル館。Photo: Luc Castel/Getty Images

イスラエルの2026年ヴェネチア・ビエンナーレ参加が危ぶまれている。4月22日にイスラエルのハアレツ紙が伝えたところによると、同国政府はパビリオンの改修を計画中だが、来年の開催までに完了しない可能性があるという。

2024年のビエンナーレでは、イスラエル館代表作家のルース・パティールとキュレーターたちが開幕日に会場を閉鎖。イスラエルとハマスの間で停戦と人質解放が合意されるまで展示は再開しないと発表した。しかし同年のビエンナーレ期間中、どちらも実現されることはなかった。

そして、2026年の参加にも黄信号が灯っているようだ。ハアレツ紙の報道では、パビリオンを共同運営するイスラエル文化省と外務省が建物の維持管理に努めているものの、改修プロジェクトが遅々として進まず、2026年の会場として使用できない可能性が出ている。

イスラエル外務省は、パビリオンの改修計画には予算上の問題があったとしている。同省によると、4月の過越祭の直前に予算は承認されたが、文化省は依然として改修スケジュールの決定を待っている状態だという。

ヴェネチア・ビエンナーレでは国別パビリオンが批判の対象とされがちだ。昨年はイスラエルの代表作家らがパビリオンを閉鎖したが、それに先立ってガザ地区での大量虐殺に反対する激しい抗議活動が行われた。ビエンナーレのメイン展示参加者を含む数千人のアーティストも、イスラエルを「大量虐殺的」だとする書簡に署名している。また、国際紛争の影響を受けることも多く、ロシアは2022年のウクライナ侵攻の後、同年と2024年のビエンナーレに参加しなかった。

2026年5月9日に開幕する第61回ヴェネチア・ビエンナーレについて、国別パビリオンの参加締切りがいつになるかは明らかにされていない。一方、すでに参加を表明した国もあり、4月初旬時点で20弱の国が計画を発表している。その中で注目されるのはイギリスフランスで、それぞれルバイナ・ヒミッドとイト・バラダがキュレーションを担当する。(翻訳:石井佳子)

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