シャネルがアニメの名門カリフォルニア芸術大学に資金提供、AI活用に重点を置く研究センターを設立

シャネルが設立資金を提供した新しい研究センターが、今秋カリフォルニア芸術大学で始動する。1961年にウォルト・ディズニーとその兄ロイが創設した同大学は、特に進化の著しいアニメーション界で活躍する人材を多数輩出していることで知られる。

カリフォルニア州ロサンゼルス郡サンタクラリタのカリフォルニア芸術大学。Photo: Courtesy Variety

カリフォルニア州ロサンゼルス郊外、サンタクラリタにあるカリフォルニア芸術大学(通称カルアーツ)のキャンパス内に、今秋「シャネル・アーティスツ・アンド・テクノロジー・センター(Chanel Center for Artists and Technology)」がオープンする。

シャネル文化基金が資金を提供したこのセンターは、AI/機械学習やデジタルイメージングを中心とする研究、実験、教育に必要な最先端技術を、同大学の学生や教授陣、客員研究員が利用できる環境を整えることを目的としている。また、大学と美術館やテクノロジー企業を結ぶネットワークの中心的存在となることも視野に、現在エグゼクティブディレクターのリクルーティングが行われている。

シャネル文化基金からの資金は、同センターの設備のほか、アーティストや外部の専門家、テクノロジストたちのレジデンスプログラム、大学院の奨学金、そして未来を見据えた研究と創造に向けられる。また、アーティストと新しいテクノロジーとの関わりをテーマにしたフォーラムを毎年開催することも計画されている。

同センターの開設について、カリフォルニア芸術大学のラビ・S・ラジャン学長は、次のように抱負を述べた。

「シャネル・アーティスツ・アンド・テクノロジー・センターは、私たちカルアーツの長年の夢を実現するものです。歴史を通じて、また、さまざまな文化において、より想像力に富み、より魅力的で公正な未来をもたらしてきたのはアーティストたちであると私たちは考えています。そして今回、人々の生活や社会に影響を与えるテクノロジー形成の最前線に立つのはアーティストだというカルアーツのビジョンに、シャネル文化基金が賛同してくれたことに感謝しています。ゲームチェンジャー的な構想を生み出すのはカルアーツのDNAで、ウォルト・ディズニーとロイ・ディズニーによる創設以来、カルアーツの進化は関連する業界の進化と切っても切り離せない関係にあります。新設のセンターでも、芸術におけるテクノロジーの未来を定義する一助となることで、この伝統を受け継いでいきます」

また、シャネルでアート&カルチャー部門のグローバル責任者を務めるヤナ・ピールはこう語る。

「アーティストたちは絶え間なく新しいアイデアを生み出し、その進化を通じて次なる世界を私たちに提示してきました。シャネル・アーティスツ・アンド・テクノロジー・センターは、変化し続けるAI時代における人間のイマジネーションをこれまで以上に進化させるため、さまざまな分野のクリエイターたちが新しい技術を活用できる場を提供し、その活動を奨励していきます」(翻訳:石井佳子)

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