システィナ礼拝堂《最後の審判》の下で行われたコンクラーベが終了、新教皇選出で一般公開再開へ
バチカンのシスティナ礼拝堂で行われていたコンクラーベ(教皇選挙)で、プレボスト枢機卿が新教皇に選出された。普段は観光客で賑わう礼拝堂は、コンクラーベの間、閉鎖されていた。

5月7日にバチカンで始まったコンクラーベで、ロバート・フランシス・プレボスト枢機卿がアメリカ人初のローマ教皇に選出され、第267代ローマ教皇 レオ14世として正式に就任した。133人の枢機卿によるコンクラーベのため、4月末から一時閉鎖されていた観光名所のシスティナ礼拝堂がまもなく再開されることになる。
ミケランジェロの《最後の審判》(1536-41)や天井画の数々で知られるシスティナ礼拝堂は、バチカン美術館の一部として人気がある。最近発表されたアートニュースペーパー紙の2024年美術館入場者数ランキングによると、同美術館は世界第2位で683万人の入場者を記録した。
しかし、4月21日のフランシスコ教皇死去を受け、コンクラーベの準備に入った28日から礼拝堂と庭園は入場不可とされた。日本時間の5月9日正午現在、正式な再開時期は発表されておらず、バチカン美術館公式サイトにアクセスすると、ポップアップウィンドウで4月28日から休館中である旨が表示される。
コンクラーベが始まった5月7日、バチカン美術館はインスタグラムに《最後の審判》のリール動画をポスト。そこには、システィナ礼拝堂はカトリック教会の教義を象徴しているのコメントが添えられ、「時は止まった。世界は待つ。歴史は息をひそめる」と書かれていた。
そして2日目午後の投票で新教皇が決定すると、バチカン美術館はピエトロ・ペルジーノの《聖ペテロへの天国の鍵の授与》(1481–82)をアップした。イエス・キリストから天国の鍵を受け取る聖ペテロを描いたこの絵のキャプションには、「全てが始まる瞬間」、「鍵は権力の象徴ではなく、信頼の象徴である。受け取る者は、奉仕し、守り、導くことを求められる」と書かれている。
バチカン美術館の至宝であるシスティナ礼拝堂は、言うまでもなくルネサンス期を代表する芸術作品の1つ。祭壇画《最後の審判》のほか、天井には有名な《アダムの創造》など、旧約聖書の創世記の場面などが描かれている。(翻訳:石井佳子)
from ARTnews