ブライアン・イーノがマイクロソフトを非難。Windows95起動音の報酬をパレスチナ支援に寄付

アーティストでミュージシャンのブライアン・イーノは5月21日、マイクロソフト社に対してイスラエル政府・軍との協力関係中止を促す公開書簡をSNSに投稿。自ら手掛けたWindows95の起動音の報酬をパレスチナ支援に寄付すると誓約した。

2023年10月24日、ベルリン・フィルハーモニーホール。バルト海フィルハーモニー管弦楽団と共演した公演でスピーチするブライアン・イーノ。Photo: picture alliance via Getty Images

自身の50年に及ぶキャリアをベースに制作されたジェネラティブ・ドキュメンタリー映画『Eno』の日本公開を6月に控えるミュージシャンでアーティストのブライアン・イーノは5月21日、自身のinstagramにマイクロソフト社に対する公開書簡を投稿した。アメリカのニュースサイトThe Vergeが伝えた。

投稿は、マイクロソフトがイスラエル国防軍にAIとクラウドコンピューティングサービスを提供し、ガザへの攻撃に使用されたことを認めた直後のことだった。イーノは書簡でマイクロソフトに対し、「イスラエル軍による国際法違反に触れるあらゆる作戦を支援する全てのサービスを停止する」よう求め、以下のように訴えた。

「マイクロソフトとイスラエル政府・軍との協力関係は秘密ではなく、同社のソフトウェアが『Where's Daddy?』(パレスチナ人を追跡し、自宅での爆破を目的とした誘導システム)といった『奇妙な』名称の、人を死に至らしめるための技術に利用されています。システム的な民族浄化を行う政府に高度なAIとクラウドサービスを販売し、その利用を容易にする行為は『通常のビジネス』ではありません。それは共謀です。戦争犯罪を可能にするシステムを意図的に構築すれば、必然的にその犯罪の共謀者となります」

また、イーノは書簡の中で、1990年代半ばにWindows 95の起動音の制作を依頼されたことについて、「私はこのプロジェクトを創造的な挑戦として快く引き受け、同社とのやり取りを楽しみました」と振り返り、「しかし、同じ企業が抑圧と戦争の機械の一部となる日が来るとは、決して想像できませんでした」と遺憾の意を示した。

Windows 95の起動音制作は、マイクロソフト側が提示する「感動的で、普遍的で、楽観的で、未来的で」といった複数の形容詞と「3.25秒を厳守」という注文のもと始まった。それを「面白い」と考えたイーノは没頭して84の音楽サンプルを制作し、その中からこの曲が選ばれた。だが、時間に関しては注文の倍近くとなる6秒間になってしまった。この起動音は、今年の4月、アメリカ議会図書館が「アメリカの文化を伝え、反映している」音源を毎年25作品選ぶ全米録音資料登録簿に登録されたことが明らかになっている。

イーノは書簡の最後に、Windows95の起動音を制作した際に得た報酬3万5000ドル(現在の為替で約498万円)をガザ攻撃の被害者支援に充てると誓約。マイクロソフト社員やアーティスト、技術者、ミュージシャンに連帯を呼びかけた。

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