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ゴールドスミス・カレッジが「主要な支援者」との関係解消を決定。学生の抗議行動が結実

ゴールドスミス現代美術センター(CCA)は、資金を提供していた実業家夫妻と関係を絶ったことをこのほど発表した。夫婦がイスラエルを支援しているとして、親パレスチナ派の学生による抗議が半年ほど続いた結果、CCAの理事会から解任すると同時に寄付者銘板から二人の名が外されたという。

ゴールドスミスカレッジの外観。Photo: via Google Maps

ゴールドスミス現代美術センター(CCA)は、寄付者であるキャンディダ&ザック・ガートラー夫妻との関係を解消し、夫妻を理事会から解任すると同時に寄付者銘板から二人の名を外すことを発表した。これにより、数カ月に及んだゴールドスミス・カレッジの学生団体「ゴールドスミス・フォー・パレスチナ」によるCCAのボイコットは終了した。

ガートラー夫妻はイスラエルの首相、ベンヤミン・ネタニヤフと個人的なつながりがあり、政治キャンペーンに資金援助を行っている疑惑がかけられたことから、学生団体の標的となっていた。また、ユダヤ人入植地に寄付金を渡すニューヨークの組織、ユダヤ民族基金にも資金提供を行っており、イスラエルを援助していると非難されていた。

学生たちは抗議の一環として、5〜6月にかけてギャラリーを27日間占拠。一時閉鎖を余儀なくされたCCAだが、占拠期間中には、「People’s Exhibition for Palestine」と題されたパレスチナ人アーティストの作品を展示する展覧会が学生によって企画開催されたほか、ガートラー夫妻の名前が書かれたネームプレートが、イスラエルに政治犯として捕らえられ獄死したパレスチナ人作家のワリード・ダッカのネームプレートに付け替えられていた。

CCAの広報担当者はアート・ニュースペーパーの取材に対し、こうした抗議の結果ガートラー夫妻の名前を展示スペースなどから外すことを決定したと語っている。しかし、ウェブサイト上の「主要な支援者」カテゴリーには、10人の寄付者のうちの1人として引き続き掲載されている。

キャンディダ・ガートラーをめぐっては、今、芸術界全体で様々なキャンセルが起きている。例えば南アフリカ出身アーティストのガブリエル・ゴリアテは今年4月、ガートラーがヤナ・ピールとともに共同設立したイギリスの慈善団体、アウトセット現代美術基金からの資金援助は受けないと発表した(ピールは同基金の運営には現在関わっていない)。(翻訳:編集部)

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