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  • 2024.10.10

ピカソの母子像にガザ地区母子の写真を貼り付ける。活動家がイギリス政府のイスラエル加担に抗議

10月9日、2人の活動家が、ロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されているパブロ・ピカソの絵画《母性(La Maternité)》(1901)の上に血まみれになったガザ地区の母子の写真を貼り付ける抗議行動を行った。

ロンドンのナショナル・ギャラリーで、パブロ・ピカソの絵画《母性(La Maternité)》(1901)にガザ地区の母子の写真を貼りつける活動家。Photo: Courtesy YouthPhoto:

10月9日の朝、ロンドンのナショナル・ギャラリーで、2人の活動家が展示中のパブロ・ピカソの絵画《母性(La Maternité)》(1901)の保護ガラスの上に血まみれになったガザ地区の母子の写真を貼った上に床に赤い顔料をぶちまけ、現在ガザ地区の女性と子どもが危機に直面していることを訴えた。

同館は、絵画は無事で、同じフロアの他の作品にも被害がなかったことをアートレビューに報告している。

活動家の2人は23歳の国民保健サービス職員ジャイ・ハライと21歳の学生マンデー・マラカイ・ローゼンフェルド。共に活動団体「ジャスト・ストップ・オイル」の学生支部「ユース・デマンド」に所属している。ユース・デマンドがXに投稿した動画には、ローゼンフェルドが赤い顔料が撒かれた床に座り込み、「皆さんの税金は、ガザ地区の家族全員を殺すために使われています。これはイスラエルが行っていることで、私たちとは何の関係もないのにです」と訴える様子が映し出されている。

また、ユース・デマンドがInstagramに投稿した動画には、《母性》に2人が写真を貼った瞬間に警備員が写真をはがし取り、壁にハライを押し付けて拘束する姿が映っている。その中でもハライは、「ガザでは子どもたちが麻酔なしで手術を受け、死んでいます。そして女性は医療措置を受けられないまま出産しています。イギリスの国民の87%がイスラエルへの武器禁輸を支持しているにもかかわらず、政府は武器の提供を続けています。イギリス政府はジェノサイドに加担しているのです」と主張を続けた。

ユース・デマンドは、イスラエルとイギリス双方向での武器の禁輸と、2021年以降にイギリス政府に付与された全ての石油・ガス採掘権を放棄することを要求している。同グループがソーシャルメディアに投稿した声明によると、これが聞き入れられない場合、11月11日以降、他の都市でも抗議行動を起こすとしている。 

イスラエルとハマス間の争いは10月7日で1年が経過し、世界各地の都市で平和的な抗議活動が行われた。国連が4月に発表した報告書によると、イスラエル軍によるガザ地区への攻撃で、半年の間に1万人以上の女性が死亡した。そして推定6000人の母親を含め、1万9000人の子どもたちが孤児となったという。さらに、ガザ地区の100万人以上のパレスチナ人女性と少女は、食料や飲料水へのアクセスが限られており、非人道的な生活環境の中で病気が蔓延している。

報告書は、この現状を次のように述べている。

「ガザ地区の女性たちは、イスラエル軍による爆撃と地上作戦を生き延びたとしても、夫を亡くし、避難を余儀なくされ、飢餓に直面しています。この戦争は女性たちを巻き込む争いでもあるのです」(翻訳:編集部)

from ARTnews 

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