仏アートギャラリーの経営悪化が深刻。最新調査が若いコレクター不在による「長期的な衰退」を示唆
アート市場の停滞が続く中、フランスでアートギャラリーを対象に行われた調査の結果が7月14日に発表された。それによると、同国のギャラリーの多くが財政難に苦しみ、ビジネス状況の改善に懐疑的であることが明らかになった。

フランスのアートギャラリー業界団体CPGAの会員社である324のギャラリーを対象に、市場調査会社IDDEMが実施した調査で、全体の85%が今年のアートセクターのビジネス状況に悲観的であることが報告された。
この4月に発表されたアート・バーゼルとUBSの最新レポート「Art Market Report 2025」でも、2024年の世界のアート市場規模は前年比12%減、フランスのギャラリーの売上高は6%減と、市場の低迷がはっきり示されている。
「市場は2010年の水準に戻り、10年間の成長が失われました」
仏ル・モンド紙にこう語るのは、CPGAの新会長で、自身もギャラリーオーナーのフィリップ・シャルパンティエだ。実際、フランスのディーラーの5分の1が20%以上の売上減に見舞われるなど、状況は厳しい。
また、アジア市場のような若いコレクター層がフランスに育っていないことも大きな問題だ。CPGAのマグダ・ダニス副会長は、ル・モンド紙の取材にこう答えている。
「たとえば、中国などの国々のコレクターは平均して30代ですが、我われは若い人たちを惹きつけるのに苦労しています。フランスでもモノよりコトへと、消費の優先順位が変わってきているのです」
ちなみに、今年のアート・バーゼル香港やアジアのオークションハウスの動向を見ると、アジアのアート市場は、派手さはないが堅調に推移している。
1年中すき間なく開かれるアートフェアの容赦ないペースとアート市場全体の不振は、各国のギャラリーに大きな打撃を与え、多くの中堅ギャラリーが閉鎖を余儀なくされた。その中には、アメリカのブラムやヴィーナス・オーバー・マンハッタンも含まれているが、両者が指摘するのは従来のアートビジネスの歪さだ。
ブラムの代表であるティム・ブラムは、ギャラリーの営業を終了することについて、「業界構造に理由がある」と明かす。彼は、絶えず拡大するアートフェアや展覧会のオープニング、業務上の義務や期待など、休むことを許されずに年々要求が厳しさを増す現代ギャラリー業界の問題点を挙げ、こう言った。
「現在のシステムはうまくいっていませんし、これまでもうまく機能していませんでした。私が目指すのは、もっと柔軟なモデルです」
ヴィーナス・オーバー・マンハッタンのアダム・リンデマンは、7月9日付のアートネット誌への寄稿でギャラリー閉鎖を明かし、こう書いている。
「ギャラリーは、犬が尻尾を振って慈悲を乞うような態度を求められる。そんな屈辱的な思いをさせられるのがアートフェア運営の実態です」
3年前のアート・バーゼルによるパリ進出は大きな注目を浴び、フランスのギャラリー界は盛り上がりを見せた。しかし、前出のIDDEMの調査によると、過去1年半に国内ギャラリーの約12%が経済的に深刻な状況に陥り、複数の破産処理が続いているほか、閉鎖が見込まれるギャラリーもある。CPGA会長のシャルパンティエはギャラリーシーンへの懸念をこう語った。
「2015年以降にオープンした新しいギャラリーは、規模の拡大や国際化、アートフェアへの参入ができていません。こうした状況では、長期的に市場が衰退し、多様性が枯渇し、国際的なアートシーンに作家を押し上げる能力をギャラリーが失う危険性があります」(翻訳:石井佳子)
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