テートが命名権販売を検討。大展示空間タービンホールの命名権料は「最低約100億円」

イギリス国内に複数の文化施設を展開するテートが、ロンドンのサウス・バンク地区にあるテート・モダンの巨大エントランス、タービンホールの命名権を最低5000万ポンド(約99億円)で販売する可能性があると報じられた。テートは近頃、長期運営資金確保のための新基金設立を発表している。

テート・モダンの巨大なタービンホールに展示されたエル・アナツイのコミッション作品(2023年10月から翌年4月まで展示)。Photo: Mike Kemp/In Pictures via Getty Images

6月26日付の英テレグラフ紙で、テート理事長のローランド・ラッドが、2030年までに1億5000万ポンド(約297億円)規模を目指す新基金「テート・フューチャー・ファンド」調達の一環として、テート・モダンにあるタービンホールの命名権売却の可能性について言及。金額について問われると、「最低5000万ポンド(約99億円)と答えた。ラッドはまた、キュレーターや幹部職向けなど、特定の用途を指定した資金提供も受け付けると述べている。

一方、テートの広報担当者はアートニュースペーパー紙の取材に、金額は仮定に基づくものであるとコメント。タービンホールがスポンサーシップの機会として積極的に提案されているかどうかについては、「私たちは資金調達キャンペーンのスタートを切ったばかりです」として明言しなかった。

テレグラフのインタビューでラッド理事長は次のように述べている。

「テート・フューチャー・ファンドの目的は、グローバル化するアート市場の中で、イギリス近現代アートの最高レベルのコレクションを構築し、優秀なキュレーターを確保することです」

ロンドンのサウス・バンクにあるテート・モダンは、世界的建築家ユニットのヘルツォーク&ド・ムーロンがテームズ川沿いの火力発電所をリノベーションしたもので、エントランスの大空間がタービンホールと呼ばれている。この巨大スペースでは毎年秋から半年間にわたりコミッション展示が行われ、それに指名されることが存命アーティストにとって最高の名誉の1つとされる。

2025年は、テート・モダンのカリン・ヒンズボ館長による先住民アートへの注力方針を受け、スカンジナビア半島北部の先住民族であるサーミのアーティスト、マレット・アンネ・サラがコミッションを担当することが3月に発表された。(翻訳:石井佳子)

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