ロンドン・アートシーンの光と影を捉えた写真家、デヴィッド・ベイリー大規模展がスペインで開催中
スペインのMOP美術館にて、スウィンギングロンドンを代表する写真家、デヴィッド・ベイリーのスペイン初となる大規模展覧会「David Baileyʼs Changing Fashion」が開催中だ。当時のアート&カルチャーシーンのアイコンたちを捉えた貴重な写真が紹介されている。

ZARA(ザラ)やBershka(ベルシュカ)、Massimo Dutti(マッシモ・ドゥッティ)などを展開する世界最大級のファッショングループ、INDITEX(インディテックス)の会長兼CEOのマルタ・オルテガ・ペレスが運営するMOP財団が、スペイン・ガリシア州ア・コルーニャにあるMOP美術館にて、英ファッションフォトグラファー、デヴィッド・ベイリーのスペイン初となる大規模展覧会「David Baileyʼs Changing Fashion(デヴィッド・ベイリー:チェンジング ファッション展)」を開催している。
1960〜70年代のロンドンを象徴する写真家として知られるベイリーは、ファッション、音楽シーンで活躍。多くのスターのポートレートをフィルムに収めた。本展では、未公開写真も含む当時の躍動と熱狂を伝える約140点の作品が展示されている。
展示は、ベイリーのミューズとしても知られるモデル、ジーン・シュリンプトンの写真群からスタートし、1965年の代表作『Box of Pin-Ups』も特集。ミュージシャンのミック・ジャガー、俳優のマイケル・ケイン、バレエダンサーのルドルフ・ヌレエフ、写真家セシル・ビートン、そしてロンドン暗黒街のクレイ兄弟まで、ロンドンの文化芸術シーンの光と影を同時に収めた肖像群は、当時の空気をいまに生々しく伝えている。
ベイリーの写真には、単なるポートレートの枠を超え、自然光や無地の背景、ラフな構図、そして距離感を通じて被写体の存在感とその時代性を剥き出しにする力がある。特に1960年代のロンドンを象徴する「スウィンギング・ロンドン」を代表する写真家として、ベイリーは友人である音楽、ファッション、映画のスターたちを自らのレンズに収め、時代を彩った。
US版VOGUEの編集長、メトロポリタン美術館コスチューム・インスティテュートの特別顧問を務めたダイアナ・ヴリーランドが、「アーヴィング・ペンのスタジオが大聖堂なら、ベイリーのスタジオはナイトクラブ」と評した通り、自由で挑発的な空気の中で生まれた写真の数々は、記録を超えたカルチャーの象徴として、今も強烈な魅力を放つ。
本展では、ベイリーの写真のみならず、『Box of Pin-Ups』を再構成した特別映像作品や、1976年に創刊したゴシップ誌『Ritz』から着想を得た出版物も配布。メディアと文化の関係を批評的に捉えた彼の活動の広がりも紹介される。
MOP財団の代表、マルタ・オルテガ・ペレスは、「ベイリーはファッション写真のルールを破り、新たなルールを生んだ唯一無二の存在。ロンドンの音楽、ファッション、スタイルをこれほど自由に横断した人物はいない」と評している。

David Baileyʼs Changing Fashion
場所:MOP Foundation(Av. Porto da Coruña, 15006 A Coruña, Spain 15006)
会期:開催中~9月14日(日)
https://themopfoundation.org/en