超希少なジュラ紀ケラトサウルスの幼体化石がサザビーズに初出品。予想最高落札価格は約8億円

世界にわずか4体しか確認されていないケラトサウルスの化石の中でも極めて珍しい幼体の化石が、サザビーズオークションに出品される。捕食対象になりやすく骨がもろいため、幼体化石が出品されるのは極めて珍しく、予想落札価格は約8億円に上る見通しだ。

サザビーズに出品されるケラトサウルスの化石。Photo: Courtesy of Sotheby's
サザビーズに出品されるケラトサウルスの化石。Photo: Courtesy of Sotheby's

約1億5300万〜1億4800万年前の中生代ジュラ紀中期から後期にかけて、北アメリカ大陸とアフリカ大陸に生息していた恐竜、ケラトサウルス。その幼体の化石が、7月16日に開催されるサザビーズオークションに出品される。予想落札価格は400〜600万ドル(約5億8340万〜8億7500万円)だ。

ケラトサウルスの化石は希少で、オークションに出品される標本を含めて世界に4体しか発見されていない。また、捕食対象になりやすく骨がもろいため、幼体の化石が発掘されるのは極めて珍しい。さらに、化石化するためには肉体と四肢が無傷で残されなければならないことも希少性の要因だ。サザビーズで科学・自然史担当のバイスプレジデントを務めるカサンドラ・ハットンは、幼体を扱うのは今回が初めてだと、フィナンシャル・タイムズ紙に語っている

この化石は、アメリカ・ワイオミング州にあるボーン・キャビン採石場で発見された。この採石場はコロラド州とワイオミング州を中心とする堆積岩層であるモリソン層に位置しており、この累層からはジュラ紀に生息した恐竜が数多く発掘されている。サザビーズによれば、骨の保存状態は極めて良好で、骨の本来の形状と質感のほとんどが保持されており、暗灰色から黒色の完全に鉱物化した状態となっている。

ボーン・キャビン採石場で行われている発掘作業の様子。写真はマンモスの骨。Photo: Universal History Archive/Universal Images Group via Getty Images
Photo: Courtesy of Sotheby's
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こうした恐竜の化石は、オークションで高額取引されることが多く、昨年のオークションでは、大手ヘッジファンド、シタデルの創業者であるケネス・グリフィンが4460万ドル(当時の為替で約70億円)で「Apex」と名付けられたステゴサウルスの化石を落札している。この価格は、2020年に匿名のコレクターが落札したティラノサウルス・レックスの3180万ドル(現在の為替で約46億円)を上回り、化石としての史上最高額となった。

人気の一方で、こうした化石の高額落札は研究者に悪影響を与えている。そのひとつが、化石発掘場のリース料の急騰だ。土地の所有者たちは、高額取引を見越して研究者の予算では到底支払えないほどリース料をつり上げるようになった。脊椎動物古生物学会の会長を務めるスチュアート・スミダは、こうしたことによって重要な標本を研究者が入手できなくなり、新種の発見や進化の謎を解く研究が困難になってしまうと懸念を示す

しかし、サザビーズのハットンは研究者たちによる批判に対し、「博物館などの機関と個人購入者の両方を含む当社の顧客は、これらの標本に対して深い敬意を払っています」と反論している。

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