米国土安全保障省がシカゴのプエルトリコ文化施設に大挙来訪。「ゲシュタポのよう」と博物館側は非難

米国土安全保障省(DHS)の職員が、シカゴのプエルトリコ芸術文化博物館に押し寄せた。博物館側は、無通告での立ち入りや威圧的な態度に対し、「まるでゲシュタポだった」と非難。これに対しDHS側は、薬物捜査に関連した説明を行っただけだと声明を発表している。

プエルトリコ芸術文化博物館を訪れたDHS職員。Photo: Courtesy of National Museum of Puerto Rican Arts & Culture
プエルトリコ芸術文化博物館を訪れたDHS職員。Photo: Courtesy of National Museum of Puerto Rican Arts & Culture

米国土安全保障省(DHS)の職員が、シカゴのプエルトリコ芸術文化国立博物館を訪れ、少なくとも15台の車両が博物館の駐車場に2時間ほど停車していたという。

同館の教育プログラムのディレクターを務めるベロニカ・オカシオは、地元紙のシカゴ・サンタイムズに対し、身元を明かさなかったひとりの職員が、博物館のトイレの使用許可も求めてきたと語った。また、DHS職員は今後博物館で開催される祭りについても言及していたという。その後、職員たちは車両を一晩駐車したままにしておけるかと尋ねたが、博物館側はこれを拒否し、職員たちは午後5時前に立ち去った。

プエルトリコ芸術文化国立博物館の館長兼CEOを務めるビリー・オカシオは、アートメディアのHyperallergicに対し、身元を明かさなかった職員はトイレの使用許可を求めた後、実際には使用せず館内を見回っていたと語った。また、職員はスタッフから退去するよう求められても応じず、「人々は恐れ、困惑し、職員に威圧されていた」とも述べた。

ベロニカ・オカシオは報道陣に対し次のような声明を発表している。

「DHS職員は大挙して現れ、当館のスタッフに対してゲシュタポのような威圧的な態度を取りました。スタッフも、私たち上層部も何も知らされていませんでした。当館におけるこうした威圧・脅迫行為は許されません」

また、博物館が位置するハンボルト・パークを管轄する下院議員のデリア・ラミレスは、シカゴ・サンタイムズ紙に対し、DHSの職員は「すべての捜査当局が義務づけられているように、身元を明かすべきです」と語っている。これに対して、DHSの広報担当者は次のような声明を発表した。

「これは虚偽だ。当省はプエルトリコ芸術文化博物館を標的にしていない。米国土安全保障調査局シカゴ支部の金融犯罪対策部隊が、薬物捜査に先立ち博物館の駐車場で待機し、簡易的な説明を行ったにすぎない」

これに対してラミレスは、「こうした権威主義的な手法は、支配することを目的としています。異議を唱える声や抵抗する力を抑圧し、私たちのコミュニティを麻痺させようとしているのです。人々を対立させる暴力的な騒動を意図的に引き起こし、それが明るみに出た際には自らを正当化しようとしているのです」と反論した。(翻訳:編集部)

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