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メタ社のニューヨーク新オフィスがアート尽くし! 作品の数々を大紹介

米メタ社(旧フェイスブック)が、このほどマンハッタンのミッドタウンで新しいオフィスを始動させた。国家歴史登録財に指定されているジェームズ・A・ファーリー・ビルに入居した同社は、改修されたオフィススペースを彩るサイトスペシフィック・アート(特定の場所に合わせて制作するアート)を5人の作家に依頼。どんな作品が設置されたのか紹介する。

ティムール・シー=チン《Sacred Footprint(神聖な足跡)》(2022) BRADFORD DEVINS/OWLEY

ニューヨークを拠点に活動する5人のアーティストは、カラフルで明るい気分になる壁画や、天井からつり下げられた巨大彫刻、この街に集まる多様な人々を思い起こさせるテキスタイルの壁画など、各々のスタイルで大型作品に取り組んだ。その中には、カシミール地方のシルクの手織り絨毯にインスパイアされ、2部構成のインスタレーションを制作したバシーラ・カーンや、ナバホ族の伝統的アートへのオマージュだというパネル画2点を描いたマシュー・カークなどがいる。

最も目立つ場所にあるのが、ティムール・シー=チンの《Sacred Footprint(神聖な足跡)》だ。これは、ステンレスとアルミニウムでできた高さ約15メートルの樹木の彫刻で、4階分のオフィスの吹き抜けにつり下げられている。

ドイツとモンゴル、中国の血を引くシー=チンは、ベルリン、北京、米国南西部の先住民コミュニティで育った。彼の作品は、異質な文化同士を結ぶ共通項である環境への責任を表現している。先端テクノロジーを多用する彼のスタイル(吹き抜けの彫刻は、樹木の3Dスキャンをもとに作成された)は、メタが運営するアートプログラム、「メタ・オープン・アーツ(Meta Open Arts)」と相性がいい。

メタは声明で、完成した作品についてこう述べている。「街の象徴的存在でもある歴史的な建築を生かしつつ、それが建てられる遥か以前からこの場所にあった自然や、そこで暮らしていた先住民への敬意を表している。作品は、ニューヨーク市の中心部に立ち、人々のつながりと創造性の発信地となるこの建物の未来を祝福するものだ」

では、メタの新しいオフィスのために制作された作品を紹介しよう。


Photo: Bradford Devins/OWLEY


マシュー・カーク《A Shadow of a Shadow(影の影)》(2020) Photo: Bradford Devins/OWLEY

マシュー・カークは、ファーリー・ビルのサウスロビー用に《A Shadow of a Shadow(影の影)》と《Distant Lie(遠い嘘)》の2点の絵画を制作した。


Photo: Bradford Devins/OWLEY

《Sacred Footprint(神聖な足跡)》(2022)を制作中のティムール・シー=チン。作品は複数のパーツに分解されて搬入された。


Photo: Bradford Devins/OWLEY

完成した《Sacred Footprint》(2022)。オフィスの吹き抜けにつるされる形で展示されている。


Photo: Bradford Devins/OWLEY

エステバン・カベサ・デ・バカとハイディ・ハワードはその場で大作を描き上げた。作品名は《Nature Remembers Love(自然は愛を覚えている)》。


Photo: Bradford Devins/OWLEY

完成。メインロビーを華やかに彩る《Nature Remembers Love》(2022)。


Photo : Bradford Devins/OWLEY

パシーラ・カーンによる2部構成のインスタレーションの制作風景。シルクの手織り絨毯で覆われた空洞の円柱で構成されている。


Photo: Bradford Devins/OWLEY

パシーラ・カーンは壁画も手掛けた。


Photo: Bradford Devins/OWLEY

リズ・コリンズは没入感のあるインスタレーション《Every Which Way(四方八方)》(2022)を設置した。写真は色味や配置を検討する様子。


Photo: Bradford Devins/OWLEY

ロビーを飾る《Every Which Way》(2022)。

(翻訳:野澤朋代)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年8月25日に掲載されました。元記事はこちら

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